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風香の七日間戦争

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四日目 「雨降って……」


 今日は朝から雨である
小岩井とよつばが起きると、風香は既に朝食の準備をしていた。
「風香ちゃん、おはよう」
「……おはようございます」
機嫌が悪そうである。
「おはよー!」
「よつばちゃん、おはよう」
よつばには普通に話をする。
(風香ちゃん、俺に怒ってるのかぁ)
小岩井はおずおずと聞いてみた。
「風香ちゃん、何か手伝おうか?」
「……いえ、大丈夫です」
「あ、そっ、そう?」

 朝食ができあがっても、風香はもくもくと食べている。
小岩井はまた話しかけてみた。
「風香ちゃん、なんかいつもと違うようだけど」
「いつもと変わりません」
「いや、あの、風香ちゃん、俺……何かしたかな?」
「何にもしてません!」
二人のやりとりを聞いていたよつばが話しかける。
「ふーか、またとーちゃんとけんかしたか?」
風香はよつばに笑顔で答える。
「ううん、大丈夫。してないわよ」
「けんかしちゃだめだぞ。なかなおりしろ?」
「よつばちゃんはいい子だねー」

 食事が終わると、よつばは傘を持って飛び出していった。
「とーちゃん、えなんちいってくる!」
「おまえ雨降ってんのに、こんな朝早く行くのか。迷惑かけるなよ」
「かけないよ? いってきまーす」
小岩井は風香の後ろ姿を見た。
相変わらずもくもくと洗い物をしている。
(しばらくそっとしておくか)
「じゃあ風香ちゃん、俺は仕事するから何かあったら言ってくれ」
「はい」

 風香は片付けを終え一息つく。
「なんか仲良くなるどころか悪くなってるし。やっぱり私が子供なのかなー。でも小岩井さんも小岩井さんよ。もうちょっとやさしくしてくれてもいいのに」
風香はため息をつき、次の仕事を始めた。

 そのころよつばは綾瀬家に来ていた。
「おはよー」
「あっ、よつばちゃんだ」
「今日は早いわね」
「えなあそぼー」
「何しようかー」
「ジュラルミンごっこ!」
よつばは熊のぬいぐるみを取り出し、恵那と遊び始めた。
「よつばちゃん、おはよう」
「おー、あさぎだ。おはよー」

 しばらくしてよつばが思い出したように話しだした。
「あさぎー。とーちゃんとふーかがまたけんかした」
「また?」
「とーちゃんがなんかしたかってきいたら、ふーかがなんにもしてないっておこった」
「なんか面白いことになってるわね。それはよつばちゃんのお父さんが風香に何もしなかったから怒ってるの」
「?」
「お姉ちゃん、よくわからない」
「恵那ももう少し大人になったらわかるわよ」

 あさぎは風香の様子を見に行くことにした。
「こんにちはー。おじゃましまーす」
風香は掃除をしていた。
「あ、お姉ちゃん」
「あんた、すっかり所帯じみてきたわねぇ」
「ひどーい」
「毎日家事やってればそうなるか」

 二人は居間に移った。
「ところでよつばちゃんに聞いたんだけど、あんた小岩井さんとけんかしてるんだって?」
「べ、別にけんかじゃないもん」
「そお? 小岩井さんが何かしたかって聞いたら、あんたが何もしてないって怒ったって、よつばちゃん言ってたから」
「もー、よつばちゃん何でも話しちゃうんだからー」
「で、昨日何かあったの?」
「う、うん。やっぱり私からアタックしないとだめかなって思って誘惑した」
「誘惑ってあんたも結構大胆ね。それで何をしたの」
「水着の上からバスタオル巻いて、そのバスタオル小岩井さんの前で取って見せたら、小岩井さん怒っちゃった」
「あはは、そりゃ誘惑じゃなくて、小岩井さんからかっただけじゃない」
「でも小岩井さんもひどいんだよ。私を子供扱いしてお尻叩くんだから」
「確かに小岩井さんから見ればあんたは子供だろうけど、照れ隠しもあったんじゃない。ちょっと期待したところ、からかわれたと思って」
「そ、そうかな」
「やっぱりスキンシップよ。腕組んだりとか手を握ったりとか」
「お買い物行ったとき小岩井さんと腕組んでた」
「それでいいの。大胆なのはやめときなさい。あくまでもさりげなくよ、さりげなく」
「うん、わかった」
「あんたにはこんな立派な武器があるんだから」
あさぎは風香の胸を弾いた。
「お姉ちゃん!」
「あはは、じゃあ私は帰るわ。頑張んなさい」
「うん、お姉ちゃんありがとう」

 そこに二階から小岩井が降りてきた。
「あれ? あさぎさんいらっしゃい」
「こんにちは。おじゃましてます。もう帰りますけど」
「ごめん気づかなかった」
「小岩井さん、ちょっと」
あさぎは小岩井に耳打ちする。
「風香にもう少しやさしくしてあげてくださいね」
あさぎは帰って行った。
風香と小岩井が残される。

「あの、小岩井さん。今朝は私一人で怒っててごめんなさい」
「いや、多分昨日のことだとは思ったけど、俺も君のお尻引っぱたいたのを謝るよ。ごめん」
「あれは私がばかなことしたのが悪いんです。でもあれは別に小岩井さんをからかったんじゃなくて、小岩井さんの、その、気を引こうと……」
「わかった、わかった。よつばじゃないけど、とりあえずけんかはおわりということで」
「はい!」

 よつばは綾瀬家で食べると電話があったので昼食は家にあったそうめんと、冷蔵庫の中の物で済ませた。
「小岩井さん、お米そろそろないんですけど」
「じゃあ今日買ってこようか」
「雨の中ごめんなさい」

 片付けを終え、風香は自分の部屋に戻った。
布団に横になり、昨日買った雑誌を読み始める。
「こういう服着たら、小岩井さんかわいいって思ってくれるのかな。でもそういうのは鈍そうだなぁ」
雑誌を読んでいるうちに、風香は眠ってしまった。

 一段落ついた小岩井は、そろそろ買い物でも行こうと風香の部屋の前で声をかけた。
「風香ちゃん、そろそろ買い物行ける? 風香ちゃん?」
しかし返事がない。
「あれ? いないのか。 風香ちゃん入るよ」
小岩井が部屋に入ると風香が寝ていた。
「寝ちゃったか。かわいい寝顔でまあ」
小岩井はなんとなく風香の寝顔に見入ってしまった。
「こんな娘を嫁さんにもらったら、尻に敷かれんのかな」
そのとき突然風香が目を覚ました。
「わっ!」
小岩井は驚いて飛び退く。
風香はしばらく状況が飲み込めていなかったが、自分の部屋に小岩井がいるのを見て悲鳴を上げた。
「きゃー!!」
「ふ、風香ちゃん落ち着いて!」
「こ、小岩井さん。まさか私が寝てる間に……」
「違う! そうじゃない!」
「こんな風に私を襲うなんてひどいです!」
「頼む! 俺の話を聞いてくれ!」
小岩井は必死に風香を落ち着かせた。

「それで私が寝てる間に、なぜ小岩井さんが私の部屋にいたんですか?」
「それはさっきも言った通り、買い物に行こうと風香ちゃんに声をかけたんだよ。でも返事がなかったから断って中に入ったんだ。やましい気持ちからじゃないよ」
「それじゃあ、すぐ起こすとかしてくれればよかったのに」
「いや、君がかわいい寝顔で気持ちよさそうに寝てたから、思わず見とれ、じゃない、どうしようか考えてたんだ」
「わかりました。ゆるしてあげます。でも寝てるときは入らないでくださいね。びっくりするから」
「う、うん。ほんとにごめん」
小岩井は部屋を出ていった。
作品名:風香の七日間戦争 作家名:malta