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とある転生者の話(第二部)

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第二十話 怖いもの



side:アユム

目が覚めると……
「知らない…天井……」
…じゃなかった。
知ってる天井があった。
「……ポケセン?」
全く記憶にない。
ヒビキに会った気がする。
まさか…やっちまった?
体を起こす。

……隣でシルバーが寝ていた。
このいかにも「病室で看病しててそのまま寝ました」的な格好は何なの!?
しかも手!握っとるし!!

…って焦っても仕方ない。
別にそういうのにときめく訳じゃないからね。
…精神年齢的な意味で。
しかし、シルバーが運んだのだとしたら申し訳ないな。
胸なし、くびれなし、可愛いげなしの3無し揃った女を運ばせて、しかもベッドまで占領してしまってる訳だ。
更に、中身はアラサーのオッサン臭漂う女だ。
ホントに申し訳ない。

最近思うのだが、好みが女っぽくなってきた。
可愛いポケモンを見るとなで回したくなる衝動や、甘いものが無性に食べたくなる衝動にかられる。
元々可愛いものは好きだがここまでではなかったし、前世は辛党だった。
それがこちらに来てから、あれほど好きな辛いものが食べれなくなり、ケーキ等が好きになった。
それどころか、最初違和感のあったスカートが履けるようになった。
その分、アレの後が凶悪になりそうなのだ。
ハッサムからの情報によれば、どんどん「男前」になってるとか。
……もしかしてヤバイんじゃね?

そんな考えに耽っていると、シルバーが目を覚ました。
「あ、おはよ」
「おは…目、覚めたのか」
なぜ挨拶を止めたし。
「…いきなり倒れるな。ハッサムが困ってたぞ。」
「え?…あぁ、そっか。ハッサムだと誘拐と勘違いされるもんね」
どこかのロリーパーのせいでな!!
「…はぁ。体調悪いなら無理に出掛けなくていい。」
「ごめん」
「オレじゃなくてハッサムに言え。オレはもう御免だからな」

シルバーの機嫌が悪い。
それが無性に寂しく感じた。

「……熱とかないな?」
「うん」
「なんか食いたいもんは」
「うーん、ないかな」
「じゃあ寝てろ。オレは出かける」
そう言って扉に向かい、ふと思い出したかのようにこっちを見た。

「ドア、呼ばれても開けるなよ」
「ボクは幼稚園児か!?」
つい突っ込んでしまう。
「園児よりも信用ならん」
「酷っ!?」
「ホイホイ開けそうだからな」
「開けないよ!?てかなにその危ない表現は!?」
ハイハイとわざとらしくため息をついて出掛けていった。