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白の祓魔師

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成長編



 アムロはジュニアスクールまでは一般の学校へ通った。
しかし、ミドルスクールへ上がる時、バチカンから神学校を兼ねた学校へ入学するように要請が来た。
何故なら、一刻も早くアムロが祓魔師として活躍をして欲しかったからである。


 世界の信仰は、大きく分ければ3つになる。
仏教、イスラム教、そしてキリスト教
仏教は多神教と言えるが、イスラム経とキリスト教は一神教であり、教義の違いからたびたび衝突を繰り返してきた。
が、イスラム教の教義の明瞭さから、改宗する人が増えてきたのだ。
また、キリスト経と一括りにしても、各宗派があり、宗派間の諍いもたびたびである。
そんな中、聖人と銘打たれるアムロの存在は、カトリック総本山のバチカンにしてみれば願っても無い広報担当者である。
普通であればハイスクールを卒業後に神学校へ入学してもらうのだが、アムロの学力の高さと聖人としての能力を鑑みての方針となったのだ。

                †

「我々の教区から聖人が生まれ、歴代最年少の祓魔師が生まれるであろう事は、まことに誇りである。親元から遠く離れる事に不安や寂しさはあると思うが、神はアムロをいつも見守って下さっている。これも試練だと思い、頑張って来てくれ給え」

アムロの住む教区のパオロ司祭は、歓喜に顔を輝かせてそう告げてきた。

“寂しさなんて無いよ。父さんも母さんも、僕が聖人だって崇められだしたら、他人行儀になっちゃったんだから・・・。試練なら最初っからだよ”

アムロは司祭の言葉に何の反応も返さなかった。
代わりに、壮行の為に集まってくれた人達を見渡す。
誰もが素晴らしい事だと明るい顔をしている中、ただ一人、アムロを痛ましそうな視線で見つめる者がいた。

“・・・・・・ブライトさん”

アムロは彼の表情に、自分を正しく理解してくれる人が一人でも居た事に感謝した。

“ブライトさん達を助ける為に、僕は祓魔の技を修めて来よう! バチカンやキリスト教徒の為じゃない。僕を理解してくれる人達の為に!!”

アムロはブライトへ向けてしっかりと頷くと、小さなバック一つを持ってバチカンからの迎えと共に、かの地へと旅立った。

             †

 神学校はローマ郊外の教皇の別荘であるガルドルフォ城の敷地内に存在した。
バチカン市国の敷地は狭く、寺院や礼拝堂、図書館や博物館、美術館など既存の建物だけで目いっぱい。
学校を新設する余地は存在しないからである。
敷地内には農園があり、そこで取れた野菜や牛乳、卵がバチカンと学生たちの食卓に上る為、学生たちは城の住人たちと一緒に畑仕事にも従事した。
体力のあまりないアムロにとってこれはかなり大変な事だったが、日差しの下で土に触れ、動物に触れる事は、鬱々と悩まなくて良い事柄だったから、心の底から作業を楽しんだ。

 入学した学校は、厳密には司祭を育成すると言うより祓魔師 ―エクソシスト― を育成する学校であった。
まずは聖書の理解から始まり、キリスト教の歴史、悪魔との戦いの歴史、嘗て聖人と称された人達の偉業を教えられる。
そして、悪魔の名前、役割、弱点。天使の名前と位、役割。己を守護してくれる天使の認定まであった。
聖書の中の聖句は、祓魔の際に重要となるものでもあり、素早く唱えられなければならない。その場に応じた聖句を判断できるようにと、幾度となく唱えさせられ、ケースバイケースでの変化も問われた。
負けん気の強いアムロは誰よりも努力をし、常に上位をキープしていたが、もとよりあまり人付き合いが得意な方でないアムロは、仲間に溶け込むことがなかなか出来なかった。
成績は優秀だが親しく付き合う素振りが無い。しかも12歳のアムロは、同級生や先輩から孤立しがちとなってしまった。虐めがなかったのは、アムロにとって幸いだったと言えるだろう。

 が、そのアムロと同じような成績を出す青年がいた。
彼の名前はカミーユ・ビダン。
彼も能力の高さを乞われ、16歳で神学校へと入学してきた。当然の事ながら同級生は年上ばかり。
名前も見た目も女の子の様だからとからかいの対象となったのだが、それが彼の逆鱗であり、空手の有段者である彼からの鉄拳修正と受ける事になるので、今では誰もそれに触れなくなっていた。
作品名:白の祓魔師 作家名:まお