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グランギニョールは微笑んだ 第一章

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妖精と夢を超える少女と


『ディテクター事件が終わった後、これからのLBXについてですが、ジンさん、ジェシカさん、ユウヤさん。如何思いますか…』
(下らないな)
ピートが初めてこの平和を苛立っていたのは、これで10回目。孤児院で退屈に暮らし、盥回しにされて皆が笑いあっている事に苛立っているのだ。
今TVに写っているのは3人がインタビューに応じている姿だ。ジェシカはピートに「ここで待ってて」と言っている。バンやヒロはLBX大会、カズやアミは言うまでも無い。

『この、悪魔!』

(自分は悪魔ではない、人形だ。)
胸がギュッと締め付けられそうな気持ちだったが、この感情は要らない。必要ない。人形は、人形らしくすれば良いのだ。
「…カリングブレードの手入れ、忘れていたな。」
そうボソッと呟くと、不意に後ろから、「だーれだっ!」と目を隠された。振り払ってみたら、居たのは赤い髪をした少女だった。
「貴様、如何言うつもりだ!」
少女はフフン、と鼻を鳴らし「只の未来からの使者よ。」と言った。使者…?如何言うつもりだ!と叫ぶと、彼女はこう語る。

「…母なる者、父なる者から生まれた子供が、災禍の種を振りまく。究極でもなく、最強でもない、最悪と言う名の絶望。」

ピートはその事に興味を持ち、「…頭に入れて置こう。名は?」と語る。少女は名を語る。
「私の名前は岡崎夢美。ツァラトゥストラの化身とも呼ばれているわ。」
ピートは岡崎に「…案内してくれ。」と語り、彼女の後を追って行った。

「只今ー!ピート、今終わったわ…ん?」
ジェシカ達はインタビュー終わった後、彼の姿が無い事に気づきユウヤは「何処へ行ったんだろう…。」と語った。ジンは「…何かに巻き込まれたのかもしれない。拓也さんに連絡入れて置こう。」と言った。

「何処に行っちゃったんだろう、ピート…。」


その頃サンは見慣れない場所で誰かと会話していた。
「ヴォルファング、居るかい?ヴォルファング…。」
ひょっこり現れたのは狼の姿を模したロボットだった。(ロボットとは疑わしいが被り物の可能性がある)
「若、何の用ですか?」とヴォルファングは言っている。サンは「”アグラッドヘイム”が動いた可能性は、無い?」と言った。
「残念だが私のレーダーにその様な動きが無かった…。むしろ可笑しいと思うが。」
「可笑しい…?」
サンは如何言う事だ、ヴォルファング。と言い彼はこう指摘した。

「…オメガダインから一体の生体反応が現れたようだが、可笑しいのだ。…生気が無い。」
なっ…!とサンは驚愕した。まさか、そんな馬鹿な。と思うも、警戒しなければならない。
「…僕は引き続きバン達と行って、警戒している。ヴォルファングは引き続きシェルダン、ミジニオン達と各地を調査しているんだ。」
ヴォルファングは「分かりました、若」と言い、姿を消した。

(12のアニマの器の1つは僕が持ってる…。オートボット戦争から50年後…。この世界は変わってしまったけど、遺産であるアニマの器が、争いの火種にならない様に…。)
サンはそう思い、CCMを握り締めた。