二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

INDEX|61ページ/98ページ|

次のページ前のページ
 

心無き稲妻




ヒュン、フッ。シュパ、ヒュン。
高速で風を切る音が部屋の内部で聞こえる。
「・・・・・・」
ヒュン、フッ。ドガッ!! バチィ! シュパ、ヒュン。
「くっ!」
それに時折混じる衝撃音。ダブルが攻撃を受けた音。
前の戦闘と違ってダブルは防御と警戒を怠らないためか、68番は打撃のラッシュは繰り出さず、打っては逃げるヒットアンドウェイ戦法で確実に倒すことを選択したらしい。
ヒュン、フッ。ドガッ!! バチィ! シュパ、ヒュン。
「うぐっ!」
打撃とともに生じる神経に障るような痛みにダブルは顔をしかめる。
(・・・・・・前の路地裏の戦闘じゃすぐに気を失っちまったんで気づかなかったが、こいつの攻撃には、一発一発に高圧の電流が流れていやがる・・・・・・っ!)
ヒュン、フッ。ドガッ!! バチィ! シュパ、ヒュン。
「っ!」
攻撃を受けながらもダブルは冷静に相手の能力をはかる。
(・・・・・・・打撃の強さから推測するに、単純な運動出力は人間並みのパワーくらいしか出せない。先の戦いで僕らの意識がなくなってしまったのは、おそらく電撃の痛みによる神経反射性の失神・・・・・・っ!)
敵、ライトニングメモリの能力の全容が次第に見えてきたダブル。そこから勝機への糸をたどろうとするが―――、
ヒュン、フッ。ドガガガッ!! バチィバチィ!! シュパ、ヒュン。
考え込んでいるダブルの隙をついての高圧電流混じりの打撃。今度は連撃で喰らってしまった。
「ぐ、ぐうう!?」
一瞬意識が遠くなるダブル。しかし何とか意識を繋ぎとめる。
ヒュン、フッ。
その頃には68番はとっくにダブルの射程圏内から離脱していた。
「くそ、早すぎる! まるで動きが捉えられねぇ!」
ダブルの装甲は厚く強固なので68番が繰り出す電撃攻撃も数発程度なら耐えられるが、さっきのように連打でもらうと装甲より先に装着者の意識がとんでしまう。
このまま防御と警戒を続けていても、いずれは今のように隙を突かれ連打撃をもらってしまう。そうなってしまってはアウトだ。
「翔太郎、メモリチェンジだ! ルナトリガーで応戦する!」
「お、おう!」
打開策をいろいろ考えていた翔太郎はフィリップに促されるようにメモリチェンジをする。
使用するメモリは、幻想のルナメモリと、『銃撃手の記憶』を内包するトリガーメモリ。
(Luna!!!)
(Trigger!!!)
素早く変身するダブル。
パシュゥゥ。
変貌したその姿は黄色と青のアシンメトリーの怪人。
変幻の弾丸・ルナトリガー。ダブルの基本形態の一つ。
狙われた標的は逃れられない、回避不能の射撃の名手(シャープシューター)。
ダブルはトリガーサイドのボディからエネルギー銃・トリガーマグナムを取り出すと、
「喰らえ!」
ドン! ドン! ドン! ドン! ドン!
有無を言わさない速射攻撃。金色に光るエネルギー弾を68番に向かって放った。
「・・・・・・」
しかし、光速に近い速度で動けるライトニングメモリの使い手、検体番号68番にはそんな弾丸避けるのは朝飯前。
ヒュン、ヒュン、シュパ、ヒュン、シュパ。
鋭く風を切る音を発しながらダブルのエネルギー弾を全て避ける。
「・・・・・・」
ヒュン。
そして撃ち終わって次弾を発射していないダブルに向かって突進する。
「かかったね!」
「後ろだぜ、マヌケ!」
ダブルは吠えた。
「・・・・・・」
言われたとおり後ろを振り向く68番。
そこには避けたはずのエネルギー弾が68番に向かって飛んできた。
ルナトリガーの特殊能力。ルナメモリの超常的な性質をエネルギー弾に付与することでダブルは弾道を自由に操作することが可能となる。
その力を応用してつくられた標的を追尾するエネルギー弾『ビームバレット』。ルナトリガーはその技を活かしたトリッキーな銃撃戦を得意とする。
「これで決まりだぜ!」
ダブルは勝利を確信する。
「・・・・・・」
死角の背後からの攻撃。避けたとしてもどこまでも追跡を止めない変幻の弾丸。
「・・・・・・」
絶対不可避のこの状況で68番は。
フッ、ヒュン。
「え?」
「な?」

ダブルを自分の盾変わりにすることを選択した。

ドドドドドーーーン!!!
「ぐあああ!!」
68番がもらうはずだったエネルギー弾を全て喰らったダブルは絶叫する。
「バ、バカな〜・・・・・・っ!」
「ル、ルナトリガーの追尾性能を単純なスピードだけで凌駕したというのか・・・・・・っ!」
ビームバレットを避けられたことで混乱するダブル。
「・・・・・・」
そしてその隙を、サイレント・キーパーの戦闘マシーンが見逃すはずもなかった。
ドドドドドドドドドッ!!
背面から打撃の嵐を食らわせる68番。
「ぐああああああ!!」
ダブルの体中を高圧電流の痺れが襲う。
「ああああ、・・・・・・かはっ!」
そしてついにはその痺れに耐えかね片膝を地面につく。路地裏の戦いのような不意打ちではないので気絶することはなかったが、それでも体中が痺れてしまいすぐに動くことは出来ない。
「・・・・・・」
68番はそんなダブルの目の前に立ち静かに見下ろす。
そして動けないことを確認すると、ダブルの頭を両手で掴む。
バリバリバリバリィィーーーーッ!!
「が!? がぁぁぁーーーーー!!」
そして何も躊躇することなく68番はダブルの頭に高圧電流を流す。
バリバリバリバリィィーーーーッ!!
「あああああああああ!!!」
翔太郎は痛みで絶叫する。
「翔太郎! や、やめるんだ、68番! それ以上続けたら翔太郎の脳が破壊されてしまう!」
フィリップは高圧電流を流し続ける68番に叫ぶ。
ソウルサイドのフィリップは、感覚を共有しているといっても自分の体ではないのでダイレクトにダメージを負っている翔太郎よりかは少しだけ余裕があった。
「・・・・・・拒否します。Dr.桐嶋の命令が最優先事項です」
フィリップの悲痛な訴えにも全く与する様子のない68番。
「あああああああああ!!!」
68番の高圧電流を喰らい続けてただ絶叫するしかない翔太郎。
「翔太郎!」
先ほどの電撃で指一本動かせないフィリップはただ相棒の名を叫ぶことしかできない。
「あああああああああ!!!」
そして、今まさに翔太郎の脳細胞を焼き壊そうとする68番の電流攻撃は、

ヒュン―――、ザシュッ!!

突然飛んできた車のエンジンを模したような大剣によって遮られた。
「・・・・・・!!」
ダブルと68番の間に突き刺さる大剣。
シュパ! フッ。
68番はとっさに掴んでいたダブルの頭から手を離し距離をとる。
「か、はぁ・・・・・・」
電流地獄から解放されたダブルは咽ながら両手を地面につく。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・」
翔太郎は荒く呼吸をする。
「翔太郎! 翔太郎! 大丈夫かい!?」
心配そうなフィリップの声。
「・・・・・・あ、ああ。何とか、な・・・・・・」
よろよろになりながらもそれに受け答えをする翔太郎の声。
「し、しかし、なんだ? 何故攻撃が止まった? 一体何が起こったってんだ、フィリップ?」
68番の電流攻撃でまだ目の前がチカチカする翔太郎。