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ますたーど
ますたーど
novelistID. 46067
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The world make kaput <2章>

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エリス4



立ち上がった男はこちらに駆け出して……くることはなかった。
駆け出そうとした時に足をもつれさせ、そのまま顔面から地面に落ちた。

めちゃっ…

というリアルな音がしたが、男は何の反応を無く、倒れたままだ。
エリスは恐る恐る近付き、近くにあった棒で突っつく。

つんつん

???
「………」

ぐぅぅぅぅ

地から唸るような音が男の腹から聞こえる。
エリスはポーチから持ってきていたこんがり肉を取り出して男の顔の前に差し出した。
刹那、男はむくりと顔だけををもたげ、肉に噛み付いた。
よほど腹が減っていたのだろう。決して口を離そうとせず、一心不乱に食べ続ける男。

少しして落ち着いたのか正座をしてエリスに向かって頭を下げる。

???
「いや、すまなかった。ありがとう」
エリスは次の肉を焼くために火を起こしている途中だった。

アキ:
「いえいえ、待ってて下さい。次、焼きますから♪」

???
「いや、いいんだ。今ので腹一杯だよ。二日程何も食ってなくてね、逆にこれ以上は胃が受け付けないんだ」

エリス:
「ぇー!二日もですかー!?私なら死ねますよー」

???
「ははは。ところで君は―ここへ何しに?まさかハンターには見えないけど…」
メイド服にモンスターの被り物
確かに今のエリスの格好は普通ならハンターには見えない。

エリス:
「むー私はれっきとしたハンターですぅー。ねーチャッキー」

チャッキー:
「ンキャぁ!」

???
「そうかそうか。悪かったね。よし、だいぶ落ち着いたし、お礼に大物でも釣ってやろう」
ちらりとチャッキーの方を見るが、大して気にせず立ち上がり、エリスの持ってきていた竿を手にとる。

???
「少しかりるぞ」

エリス:
「あ、はい」
そう言うと池の前まで行き、竿を振った。

―ポチャン

少しして男はエリスの方を向いて手招きをする。
それに頷くと近くまで行き、池を覗き込む。

エリス:
「ー!?でっ…でっかー!むぐ…」

???
「しー、静かに」
叫ぶエリスの口を押さえる男。

エリス:
「ありゃカジキマグロだな」
池の中には明らかに異常な大きさの魚がいた。
5m以上はあるだろうか。
男は一旦竿を戻し、カジキマグロの顔の前に振り直した。
カジキマグロもそれに気付き、餌に近づいてくる。
エリスとチャッキーはそれを食い入るように見つめる。

―パクッ

その瞬間に男がタイミングを合わせ竿を引き上げる。
が、カジキマグロも釣られまいと必死の抵抗を見せる。
顔をしかめ、額に汗を浮かべる男と限界まで曲がりきり、悲鳴をあげる竿。

???
「くっ…」
暫くの沈黙の後、時は動きだす。
男の両足がふわりと地面を離れた。
そしてそのまま綺麗な放物線を描き、文字通り、池の中に吸い込まれていった。