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猛獣の飼い方

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11.スキンシップが少し激しいです





そう、全ては好奇心。
他意なんて、どこにも無い。


「シーズちゃん!」

「こっち来るな、バカノミ蟲!!」

「ふふふ…そーんな間抜けな頭をした人に何言われても平気ですー」

「ちょ…やめ……

ああ、その困り切った表情すごくいいねシズちゃん。
昨日からシズちゃんのペースだったから、今この瞬間が非常に愉快だ。

「ほら、耳撫でられると気持ちイイでしょ?なんたって猫の先輩だからね俺は」

「べ、つに…気持ち良くなんか……」

そのわりには、猫耳をペタンと寝かせてシズちゃんは無自覚に目を細めている。
…別に俺はシズちゃんみたいな猫好きってわけじゃないんだけど…うん、悪くないね。

隙をついて、チュっとワザとらしい音を立てて唇に触れる。
しまった、と言わんばかりに見開いたシズちゃんの目には、にんまりと笑う俺が映っている。

「今度は何かなー?おっ、尻尾だよ!シズちゃん尻尾が生えてきた!」

シズちゃんの腰に回していた手を、ズボンの中に無遠慮に突っ込む。
隙だらけなシズちゃんが俺の好奇心を止められなかったのが悪いんであって、断じてこれはセクハラではない。俺的に。

「うっせぇ!手前何してくれんだよ…!!」

「いいなー。猫耳と尻尾装備なんて完璧だよ、シズちゃん!秋葉原あたりに行けば人だかりがザっと引くよ?」

「それ避けられてるんじゃねぇかよ!!…にゃっ…?!」

怒り始めたシズちゃんの尻尾を素早く掴む。

「あはっ、シズちゃん猫みたい」

にゃって言ったよ。かーわいい。
嫌味で言ったわけではないのだが、シズちゃん的にはそう取れたらしい。すごい勢いで青筋を浮かべたシズちゃんの尻尾を、俺は丁寧に、何度も摩る。

「―――ちょ…触んな、ばか……」

これ、気持ち良いよねー。昨日テレビ見ながらシズちゃんが散々いじくり倒してくれたから知ってる知ってる。

「ねー、シズちゃん。気持ち良い?」

感じ入るように目を伏せていたシズちゃんが、慌てて顔を上げた所で、もう一度キスをする。

「…あ、……」

「次は何だろうね?爪が伸びる?それとも肉球かな?」

「くっそ…!手前ばっか余裕こいてるんじゃねぇぞ…!」

シズちゃんの腕が伸びてくる。
ああ、爪が伸びてる。俺としては肉球が良かったなぁ…なんて思っていたら、がしりと顎を掴まれた。…あれ?

「返してやるよ、全部…な」

ニヤリ、と笑う顔が実に悪そうで。
ほんのちょっとときめいたとか、そこら辺は無かった事にして欲しい。

(うっわ……)

ザラリとした舌が、唇を無理に割入ってくる。
身体を突っぱねようとするが、シズちゃんの力で顎と後頭部を抑えつけられたら…逃げ場など無いも同然で。迷いなく歯列を舐め上げる舌に、不本意ながらも背筋が痺れた。やけに慣れた様子が気に食わない。

(こんなキス、誰で覚えたんだよ…)

ムカつく、ムカつく。
ああ、これくらいで心臓が張り裂けそうな自分が、一番ムカつく。


「……んっ、シズちゃん………」

やけに甘い声が、嫌でも耳に入る。
なんて声だ。まるで、全身で続きを求めるような。そんな、声。










スキンシップが少し激しいです
(やられた分は、やり返しましょう)
作品名:猛獣の飼い方 作家名:サキ