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コンビニ店員の俺と本田さんと各国の人々。1~21まとめ

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続 トルテとじいちゃんとピアニスト。




ご無沙汰してます。コンビニ店員のバイトしている者です。俺の報告待ってる奴なんかいないと思うが、漸く大学生活にも慣れ、時間が出来たので、前に話したじいちゃんと貴族さんの後日談を書かせてくれ。



 貴族さんは知る人ぞ知る凄い有名なピアニストなんだそうだ。親父が言ってた。そんなひとがじいちゃんの知り合いで生で演奏が聴けたことに親父は感動して泣いてて、俺は吃驚したよ。兄貴も何やら感銘を受けたらしいが、こっちは母ちゃんじゃないと表情が読めないくらいの無表情なのだが、母ちゃんが言うには凄い興奮してたそうだ。…貴族さんは殆ど国外の演奏会には出ない、国内のコンサートホールにたまに出演するくらいらしいで本当に知ってる人しか知らないピアニストらしい。そんな貴族さんがわざわざ、日本で開かれる演奏会に参加しようと思ったのは、じいちゃんの生まれた国だってことと、日本のピアノメーカーとベーゼンドルファー社のエピソードが強く心に残ったからなんだそうだ。

 ばあちゃんが所有するピアノ、ベーゼンドルファーはオーストリアにある老舗のピアノメーカーでかのリストの激しいタッチにも耐え抜いた製造元として名高く、有名なピアニストはこぞってこのメーカーのピアノを重用し、世界各国のピアニストに今も愛されている年間の製造台数が三百五十台程のピアノメーカーだ。(現在まで同社が製造したピアノは48,000台。世界規模で知られているピアノメーカー・スタインウェイの10分の1程度、そして日本の大手楽器メーカー・ヤマハの100分の1程度。一日製造台数が一台にも及ばないのは全工程が職人による手作業で行われている)そのベーゼンドルファー社が長らくの経営難で売却されることになり、貴族さんも最悪、会社が無くなるのではないかと気が気ではなかったらしい。何せ、貴族さんにとってベーゼンドルファーとはピアノの製造販売を始めた頃からの上得意様と長い付き合いだ。気が気ではなかっただろうなと思う。そのベーゼンドルファー社の買収には国内ピアノメーカーの他、日本の企業ヤマハが名乗りを上げた。後はスレにあったコピペが一番しっくりくるので、貼らせて頂く。



オーストリアの名門、ベーゼンドルファーが経営苦の末に身売りすることになった際、
ヤマハがその身請け先として名乗りを上げた。
今でこそピアノ界でそれなりの地位を手に入れたヤマハだが、かつて東洋の片隅で
学校向けの足踏みオルガンを作っていた頃から、ベーゼンは憧れの人と見上げてきた存在だった。
そんな存在が身売りをする。
身売りをするということは、たとえ同じ名前でも、違う存在になってしまうかもしれないことを
意味する。タタに買われたジャガーのように。そのことを誰もが覚悟していた。

当のベーゼンですらも。

そんなベーゼンに、ヤマハは驚くような破格のプロポーズをした。
「あなたがオーストリアでピアノを作り、その伝統と音を守り続けることに価値があるのです。
わたしのプロポーズを受ければ、あなたは私の養子という立場にはなりますが、
出来うる限りあなたがあなたのままでいられるように取り計らいます」
住む場所も名前も変えなくていい。あなたの家族(職人たち)とも別れなくていい。
そのまま受け入れる―――
その言葉に、ベーゼンはヤマハの手を取った。

2008年1月 ベーゼンドルファー社、YAMAHAの子会社となる。



このコピペを読んで、俺はじんと来たよ。なんつーか、ヤマハ、かっけー!!…って、まあ、内情はどうだったのかは詳しくは知らないけれど、何一つ変わることなく、働いていたひとたちがいつも通り、大好きなピアノを作り、素晴らしいピアノを後世に繋いでいけるのは素晴らしいことだと思う。他にも買収に名乗りを上げていたメーカーを蹴って、日本のメーカーを選んでくれたってことは何か嬉しいし、誇らしい。…まあ、そんなことがあって、日本って国に貴族さんは興味を持ってくれたみたいだ。でも、出不精らしく、中々、重い腰が上がらずにいたところに日本での演奏会のオファーが来て、うさぎさんとムキムキさんからじいちゃんが健在だって話を訊いて、居ても立っても居られなくなったらしい。

「最近の調律はまったく、なあなあでなっていません。あんな調律ではピアノが可哀想です!」

宴会の席でビールで顔を真っ赤にした貴族さんがじいちゃん相手に熱弁を奮っていた。ピアノがいくら良くても、やはり調律が悪ければ、音の響きがバイオリンに例えるなら、そのへんの安い量産品のバイオリンとストラディバリくらいに音が違う。…ど素人の俺には音の違いはさっぱり解らない。ピアノのいいところは量産品のピアノでも調律さえちゃんとしてあれば、いい音を出すところだそうだ。物もちゃんと愛情掛けて手入れしてやれば、必ず応えてくれる。応えてくれるようになったとき、魂が宿って美しい音色を聴かせてくれるのかもしれない。






貴族さんが演奏会の準備の為に名残惜しげに帰国して、それから二週間経った頃だっただろうか。うさぎさんが俺のバイト先にやって来た。
「よう!元気にしてたか?」
「はい、お陰様で」
「そりゃ、良かったぜ。これ、坊ちゃんから預かってきた」
うさぎさんが手にしていたのはホールケーキと思わしき大きさの箱。中からは濃厚なチョコレートの香りがする。貴族さんお手製のザッハトルテに違いない。そう思うと涎が口の中に溜まってきた。
「こっちのザッハトルテはキュウゾーとお前らの家族にってさ。んで、俺からはこれな」
レジのカウンターにケーキの箱を置いて、胸ポケットからうさぎさんは上等そうな白い封筒を取り出した。
「…何ですか?」
「こっちでやるウチの楽団演奏で坊ちゃんが客演するコンサートのチケットだ。一応家族分、準備したからな。絶対、聴きに来いよ」
「え、本当にいいんですか?チケット、取ろうって思ってたんですけど、既に売り切れだったんですよ」
「お前んとこじゃ、カラヤンが指揮執ってたころから、人気らしいしな。しかも、今回、お前んとこの奴が指揮棒振るしな。それに、今年はお前んとこっていうか、菊んとことウチの国が修好通商条約締結150周年でこのコンサートもイベントの一環だからな」
「…そうなんすか。知らなかった」
「150年前の条約締結日は一月二十四日でよ。何か、その日付も俺には感慨深くてな」
「何の日だったんですか?」
「親父の誕生日なんだ」
「親父?…ギルさんのお父さん?」
国家に親がいるのかと不思議に思って訊けば、うさぎさんは口を尖らせた。
「お前、解ってねぇな。俺が親父って言ったら、フリッツのことに決まってんだろうが!」
「…フリッツさん?」
「?…お前、フリードリヒ大王のこと知らねぇのか?」
「…えーっと…、世界史でちょっとだけ習ったような…?ローデさんとこの肝っ玉母ちゃんと戦争したひとでしたけ?」
「…………」
「…すみません。間違ってましたか?」
「いや、間違ってねぇけど。…あの女狐を肝っ玉母ちゃんって、いや、間違ってねぇけど…。…まあいい。今度、みっちり、暇があるときに親父の功績を語ってやるぜ!」