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同調率99%の少女(6) - 鎮守府Aの物語

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--- 3 校長の語りと祖母の記憶



「第二次大戦から70年あまり、日本において世界で初めて人ではない外的要因との本物の戦いがあったそうです。」

 その言葉を皮切りに校長が語った内容は、那美恵の知らぬ祖母の姿が垣間見える内容だった。

「あなたのお祖母様方は、その戦いに関わった大事な経験と記憶を持つ人達でした。当時は愛称もつけられるほどの伝説の小学六年生集団として人々から注目されるほどだったのに、全てに片がついた後、何故かある時期を境にパタリと人々の間から存在の記憶は途絶えてしまったのです。何があったのか、何があったがためにあなたのお祖母様たち彼女ら経験した事件が封殺されてしまったのか。そして彼女らがその後どういう人生を送ったかは、光主さん。少なくともあなたのお祖母様のことはあなた自身がよく知っているわね。」

「はい。」那美恵はすぐに返事をした。

「私が光主さんのお祖母様を知ったのは、昔の教師の先輩がその当時の事件を知って、調べた中で紹介されたときでした。その時は私もまだ教師として若かりし頃だったので、その事件のことはまったく知らずとても新鮮なもので熱心に聞き入りました。ただその時私はお祖母様やご学友の話を、ご老人たちの語るあやふやな体験談として捉えていました。」
 説明の最中、自身の思いを正直に白状する校長。

「そのまま時は流れ、私も教師としていくつかの学校で経験を積み、気がつけば40代になっていました。今からおよそ20年前のことです。あなたのお祖母様の話は普段の仕事の忙しさで記憶の片隅に行っていました。今にして思えば、このまま思い出すことなんてきっとないだろう。そう思っていた矢先、あることがきっかけでふと思い出しました。いえ、思い出さざるを得ませんでした。」
 那美恵は静かにコクリと唾を飲み込んで聞き入る。那美恵がチラリとソファーの向かいに視線を移すと提督たちも真剣に耳を傾けて聞く姿勢を崩さないでいる。

「そのきっかけは、今から30年前に初めて姿を現した、深海棲艦と呼ばれることになる突然変異の海の怪物です。」
 自身らが知っている単語が出てきたので那美恵はもちろん、提督や明石たちも目を見張った。
「深海棲艦……」
 那美恵が言葉を漏らすと校長は言葉なくコクリと頷いた。

「実はわたしは、深海棲艦と戦うことになる艤装装着者と名乗る人たちを遠目で見たことがあるのです。」
「あの!それってまさか初期の艦娘ですか!?」
 居ても立ってもいられなくなった明石が身を乗り出して勢い良く尋ねた。
「えぇおそらく。」
「……でもあの当時……まだ一般には……」
 自身の知識と照らしあわせてブツブツとひとりごとを言う明石。校長は明石のことを気にせず言葉を続けた。