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同調率99%の少女(7) - 鎮守府Aの物語

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--- 5 正式な提携成る




 提督が高校に来て提携を正式に契約する日が来た。その日提督は14時頃高校に訪れることになっている。那美恵は提携の仲立ちをした生徒側の代表として一連の式に参加することになっているため、先日と同様に授業は別の時間帯へということで免除。そのため校門まで行って、そこを通ってくる提督を待っていた。

 数分後、その日来たのは提督と五月雨だった。
「あれ?五月雨ちゃん? 今日学校は大丈夫なの?」那美恵は二人に尋ねた。
「はい。提督が学校に話してくれたので。」
 そう言うと五月雨は隣にいる提督を見上げる。提督はその視線を受けて補足した。
「うちの正式な秘書艦は五月雨だからね。彼女の学校からまたOKをもらっているよ。」

 提督は五月雨の自分寄りの肩を軽く叩き、言葉を続ける。
「今までは対外的な面を気にしてしまって妙高さんに代理を頼んでたけど、これからは早川さんとしての都合がつくならば、こうした交渉事や公的な式の場になるべく出てもらおうと思ってね。もちろん秘書艦が違えばその時のその艦娘に出てもらうことになるけどね。」

 那美恵はふぅんと、相槌にも満たない一言を出す。その心のうちでは、提督は彼女の成長を期待しているのだなと察した。挨拶もほどほどに那美恵は提督たちを校舎に、そして校長室に案内した。
 提督と校長は数日ぶりの再会ということで軽く挨拶を交わす。次に教頭から提督に、一人の教師が紹介された。那美恵は先日会ったことのある、四ツ原阿賀奈だ。阿賀奈は先日那美恵らに挨拶したテンションそのままで提督に挨拶をし始める。

「はじめまして!四ツ原阿賀奈といいます。○○高校の1年生の国語の副担当をしています!このたびはぁ、艦娘部の顧問になりました!あなたが提督さんなのですね。これからうちの生徒をよろしくお願いします!」
「こ、こちらこそよろしくお願い致します。」
 弾んだテンションで自己紹介をし、最後に責任ある役を任された立派な教師であることを意識して伝えるために彼女は提督に一言言って締める。
 提督は先日の那美恵たちとほとんど同じリアクションをする。ただ違うのは、那美恵たちが自分らの反応をうまく隠せたのに対し、提督は隠しきれずに少し戸惑った反応を表現してしまったのだ。そんな提督の態度を阿賀奈は、自分の教師としての威厳がありすぎて相手が怖気づいて戸惑っているのだと勘違いしていた。
 怖気づいたというのはある意味間違ってはいなかった。

 戸惑いつつも提督は阿賀奈にお辞儀をして挨拶を締めることにした。


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 そしていよいよ提携の締結をする段になった。校長と提督はソファーに腰掛け、教頭・阿賀奈は校長の、那美恵・五月雨は提督の背後に立ち、校長と提督が書面にサインを交わすのを見届ける。
 校長がサインをしたのち、書類を提督のほうに丁寧に、音を立てずに回して渡す。提督はそれを受けて自身もサインをし、国から発行してもらっていた鎮守府の印鑑を押した。その瞬間、その書面は日本国において那美恵の高校が、鎮守府こと深海棲艦対策局および艤装装着者管理署という、国がバックボーンの艦娘制度特有の末端機関を経由して、日本国と結んだ有効な契約の証となった。

「この書類を防衛省と総務省および厚労省に提出します。補助金の連絡は総務省の艤装装着者生活支援部から届く予定です。」
「はい。」
 提督は補助金の受渡に付いて簡単な説明をし、校長はそれに頷いた。その後艦娘制度に直接絡まない対外的な話をかわしたのち、提督と校長は改めて挨拶をしあう。

「これから、御校の生徒の皆様のお力をいただくことになるかと思います。よろしくお願いいたします。」
「こちらこそよろしくお願いいたします。お国の、しいては世界のために本校の生徒が力になれるよう、教育により一層励みます。」
 提督と校長は強く握手をし、ここに締結の式は締まった。