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同調率99%の少女(8) - 鎮守府Aの物語

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--- 4 気になる少女のこと




 週が明けた月曜日。昼休みの時間帯、那美恵は三千花と一緒に生徒会室で昼食を進めていた。そこにノックをして入ってきた人物が一人。
 生徒会書記の一人、三戸である。

「あ、会長、副会長。こんにちはっす。」
 那美恵は一口お茶を飲んで、口に含んだ食べ物を飲み込んだのち三戸に返事をする。三千花は“ん”とだけ発して、箸を持っていない方の手を揚げてそれを返事をする。
「三戸くん。どしたの?」
「会長、内田さんのこと知りたいって先週言ってましたよね?だから伝えに来たっす。」
「あ〜そういやそんなお願いしてたね。今の今まですっかり忘れたよ〜。」
 左掌にげんこつにぎった右手でポンと叩き、わざとらしく思い出した仕草をする。
「今いいっすか?」
「今私達食事中なんだけど?」
 三戸の確認の問いかけにネチッとした言い方で答えたのは三千花だ。眉間にしわを寄せて眼光鋭くして三戸に言い放つ。
「まーまー。あたしは別にいいよ?」
「私が嫌なの。食べてる時にああいう子の話なんて聞きたくない。」

 正反対の反応を目の当たりにし、三戸は戸惑いを隠せないでいる。二人の異なる反応を目の当たりにして話していいのかどうか戸惑っている。
「えーと、副会長、なんか内田さんのこと、えらく嫌ってる……ので?」
「まぁね〜。みっちゃんはだらしない人嫌うからねぇ。ホラホラみっちゃん。噂を信じちゃいけないよ〜。ちゃんと男子からも聞いておかないと。意外に良い人かもしれないって。さ、三戸くん。遠慮なく話してくれていいよ。」
「はい。それじゃ……」
 那美恵は三戸から、内田流留のことについて、実際に彼女に接する男子視点での彼女について聞くことにした。なお、那美恵の側にいる三千花は私は聞く気ないですよという意思表示代わりのだんまりを決め込んで黙々と食事を続けている。


--

 三戸が話す、男子視点からの内田流留の素性。それを那美恵はゆっくりと聞き出す。
「じゃあまずは、内田さんのスリーサイズから!」
「……マ、マジで?」
 いきなりとんでもない質問が目の前の少女の口から飛び出してきたので三戸は驚きのあまり聞き返した。三戸のオロオロした様にニンマリとした表情だけで返事を示す那美恵。
「じ、冗談っすよね〜そうっすよね〜! それに俺が知ってたら激烈に大問題だし。」
「ゴ〜メンゴメン。」
 横で那美恵のふざけた質問を聞いてた三千花は、男子にそういうこと聞くなと鋭くツッコんだ。

「じゃあ内田さんと男子が一緒につるんでるのはなんで?」
「つるむっつうか、内田さんとは単純に趣味の話が合うんっすよ。だから普通に内田さんに近寄る男は多いっすよ。」
「趣味?」
 那美恵は一言で聞き返す。
「はい。彼女、ゲームも漫画やアニメもスポーツも見るしやるし、とにかく趣味が男っぽいんですよ。だから俺達の話によく首突っ込んでくるんっす。話が合うから楽っていうか、俺達も自然と内田さんを受け入れちゃうんっすよ。で、気がついたら内田さんとこに男子生徒が集まってるっというわけ。」

 そういう三戸の答えに少し疑問を持つ那美恵。
「そういうのって別に男っぽいって言わなくない?あたしもみっちゃんもスポーツはもちろん漫画やゲームも少しは見るしやるよ。ね、みっちゃん。」
 那美恵の言葉に三千花は声を出さずにコクリと頷く。三戸はそれの反論を受けていやいやと頭と手を振る。
「いやいや、内容が男が見るような少年漫画やゲームばかりなんっす。例えば会長たち、○○○○っていうゲーム知ってます?××っていう漫画は?」
 そんなのしらん、とばかりに那美恵と三千花は首を横に振る。それらはこの時代の男性の間ではよく知られ、遊ばれている作品である。女性はというと男兄弟のいるのであれば影響されて見るかもしれない、特に女子高生にとってはその程度のものである。

「趣味の内容がってことね。なるほどー。それじゃあ男子が話しやすいわけだ。」
「でも、本当にそれだけなの?三戸君たちが彼女と接するのって。」
 三千花が疑問を投げかける。
「あれ〜?みっちゃん実は気になってたんd「うっさい。」
 那美恵が言い終わる前に三千花は一言突っ込んで那美恵をいじけさせた。三千花の質問を受けて三戸はその意図がよくわからず聞き返す。
「ん?どうしたんすか?」
「土曜日ちょっと見ただけだけど、内田さん結構綺麗な子だったでしょ。それでなおかつ趣味が合うなら、絶対言い寄る男子がいそうな気がするの。そういう恋愛がらみでってこと。どう?」

 三千花から補足説明を受けて三戸は顎を親指で抑えて考える仕草をして、そののち答えた。
「あー。まぁぶっちゃけみんな内田さん目当てだと思いますよ。いくら話が合って男勝りな感じって言ってもやっぱ女の子相手ですし。普通だったら男同士でくっちゃべってますもん。」
「だから三戸くんも他の男子みたいに内田さんとよく一緒にいるんだぁ〜」
「そういや三戸君が内田さん連れてきたんだよね。ということは集団の中では仲良いほう?」
 見透かしたように那美恵は三戸に一声切り込んでみた。続いて三千花も気になってきたのか、三戸に鋭く切り込む。二人の口撃に対し照れと焦りが混じった表情で顔を赤らめつつ、三戸は二人に弁解した。
「いやいや!俺はただ男の友人にプール掃除のこと話したら、たまたま内田さんが一緒にいたみたいで。まあ俺もそれなりに内田さんと話しますけどぉ!くぁwせdrftgyふじこlp@」
 語尾がモゴモゴとよくわからない言葉を喚いて言い訳とする三戸。焦るその様子を見て那美恵と三千花はクスクスと笑いあう。
「照れちゃって〜三戸くんかわいいな〜」あくまでからかう言い方の那美恵。
「俺はぁ、光主那美恵さんと中村三千花さんが好きなんですよ〜(キリッ)」

 三戸もただで済ます気はなく、那美恵と三千花という生徒会のトップ2に反撃を試みた。二人が昼食で使用している机の中央付近に右腰を寄りかけ、わざとらしく目を細めて那美恵と三千花に流し目を送る。
 が、学校でもトップクラスの強者の那美恵とその友人には冗談めいた告白や誂いからかいなんぞ全く通用しないのは明白だった。
 ただ、いきなりフルネームで呼ばれて那美恵と三千花はきょとんとした程度で、再び失笑で一瞬の沈黙を破る。
「ウフフ。はいはい。三戸くんは私達のことが好きなんだよね〜わかってる。わかってるよ〜」
「私達二人同時なんて、三戸君そんなキモの座った人だったんだ(笑)」
 三千花からも自然な笑みがこぼれた。那美恵も三戸も珍しいと感じる、三千花の感情である。三戸は、意図せず結果的につかみはOKな状態だった。