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同調率99%の少女(8) - 鎮守府Aの物語

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--- 3 プール掃除と友人




 プール掃除に行く途中、三戸は友人を呼びに行くために那美恵たちから一旦別れた。
 那美恵と三千花、そして和子の3人は先にプールへと戻り、機械室の鍵を開け排水口の栓のロックを解除した。ほどなくして機械室の外、プールの地下でズゴォォォという音が聞こえ始める。
 そのまま10数分待つ那美恵達。外はじんわり暑く、そして暇なので機械室の入り口付近の日陰になっているところでボーっと待つ3人。
「そういやさ、三戸くん友人呼びに行くって言ってたけどさ、この時間残ってる生徒なんているのかなぁ?」
「まー、普通に考えていないでしょうね。」
「部活やってる人は残ってますけど、みんな部活動で忙しいですよね。」
 那美恵の素朴な疑問に、三千花と和子は現実的な反応で答える。
「ね!ね!今のうちに着替えておかない?」
「そうね。だけど……ホントに水着着るの?てか水泳の授業なんてまだないから持ってきてないわよ?」
「私もです。普通に体操着でやればいいのでは?」
 那美恵が提案すると三千花と和子に冷静に突っ込む。
「やだなぁ〜二人とも。さすがのあたしもマジで水着着るとかないよ〜。あの場はああ言わないと三戸くんノッてこないでしょ?あと彼地味に人脈広いから、友達連れてくればいいなぁ〜っていう期待も込めてだよ。」
 あっけらかんと言う那美恵。実質、三戸を騙しているが大した問題ではないだろう、三千花はそう思い納得の表情を見せて頷いた。

 そして3人はプール備え付けの更衣室に行き、それぞれ着替え始める。
「あ、そだ。あたしはせっかくだから那珂の制服着てやろっかな?これなら濡れても汚しても問題な〜し。ね?みっちゃんも制服着てやらない?」
「やらない。」
 即答する三千花。
「はえーみっちゃん即答かい。いいじゃん別に恥ずかしい思いしないし、ただ服着替えるだけだよ?」
「い、や!」
 チラチラっと制服のスカートを掲げて見せるが、一言ずつ強調して着用すら拒否する三千花の反応に、仕方なしに那美恵は着せるのを諦めた。
「それそもそもあんたの那珂の制服じゃないの!?あたしとサイズ合わないでしょ?」
「ぶー。そんなにサイズ違わないでしょ!」
「少なくとも上はきっつくなると思う。」
「ぐっ、ぬぬぬ。いいよわかったよ。一人で着るよ……。」
 持ってきたバッグに入っていた那珂の替えの制服をそっとしまう那美恵。三千花はやや寂しそうな親友の横顔を見て、服くらいなら付き合ってあげればよかったかなと思ったが、うっかり気を緩めるとしつこい場合があるのでこの場はあえて拒否の態度を貫くことにした。
 結局那美恵は那珂の制服、三千花と和子は体操着という格好でプールサイドに再び姿を表した。


--

 プールサイドに出て半分くらい減ったプールの水を眺めていると、プール施設の入り口から三戸が数人連れて入ってきた。女子1人、男子3人という構成だ。
「おまたせしましたっす、会長。4人集まったっす。」
 そう言って三戸が紹介したのは、同じ1年生の比較的よくつるむ4人だった。那美恵と三千花はよろしくーと挨拶するも、和子だけは違う反応を見せている。

「あ……内田さん。」
 彼女がそう呼んだのは、三戸が連れてきた友人の紅一点だ。そう呼ばれた少女は内田流留(ながる)といい、きりっとした目つきにミディアムな髪、中性的な印象を残しつつもいかにも気が強そうな美少女という雰囲気を醸し出している。
 そんな少女は男子たちの先頭に立って姿を現す。
「こんちはー。ってうお!生徒会長いるじゃん!」
 流留は三戸に詰め寄って軽口で抗議し始める。
「おーい三戸くん。2年生いるならいるって教えてよ。しかも生徒会長だし。」
「ゴメンゴメン。別に言わなくても大丈夫かと思ってたよ。」
 軽いノリで三戸が言うと、さほど気にしていないのか、流留や他のメンツもすぐに直前のノリに戻る。
「ま、いいや。来ちゃった以上は手伝うけどさ。さっさと終わらせて皆で遊びに行くよ?」

 流留たちが近寄ってきたので那美恵と三千花は挨拶をかわす。しかし和子だけは反応が違う。少しおっかなびっくりな態度で那美恵と三千花の間に移動する。その様子に気づいた那美恵はどうしたのか尋ねた。
「およ?わこちゃん。どしたの?」
「……!あ、その。いいえ。なんでもないです。」
 那美恵は和子の様子をそれ以上気に留めないが、三千花は和子の様子が気になっていた。


--

 プール掃除のために計8人がプールサイドに思い思いのポーズで立つ。那珂の制服を着た那美恵が7人の前に立ち、音頭を取り始める。
「もーすぐ水が引くから、そしたらとりかかるよ。みっちゃんと三戸くんは外の水道の蛇口にホースつけて、水を流す係ね。で、内田さんたちは三戸くんに従ってその側をデッキブラシでおもいっきりゴシゴシと。もーガンガンやっちゃって。三戸くんの持つホースは長いからどんどんプールの先まで進んでいっちゃっていいからね。」
「はい。わかりましたー。」
 やや気だるそうに流留が、続けて他男子生徒たちが真面目に返事をする。そして那美恵は三千花と和子のほうを向いた。
「そんで、あたしとわこちゃんはみっちゃんが水をかけるところひたすらゴシゴシやるよ。みっちゃんのホースのほうが短いから、あたしたちのほうがプールの前のほうを重点的にやります。」
「「はい。」」
 那美恵は三千花から、和子の様子が気になる。どうも内田さんたちと混ぜるな危険ということを聞いており、その意を汲んで三千花・和子・那美恵の3人組になるように構成を指示した。
 まもなくプールの水が完全に引く。各自デッキブラシを持ったり、蛇口にホースを取り付けるなどして準備をする。各自の配置に付く最中、生徒会長である那美恵の格好が気にかける人物がいた。内田流留その人だ。

「ねぇ生徒会長。その格好なんですか?」
「ん?これ? これね、艦娘の制服なんだよ。あたし艦娘やってるから。さっきまでここでデモンストレーションしてたんだ。」
「へぇ〜艦娘やってるんですか。」
 やや興味ありげな様子を見せる流留に、なんとなくクるものがあった那美恵はこそっと勧誘してみる。
「ね!ね!内田さん。内田さんは艦娘興味ある?」
「え?艦娘? うーん。よくわかんないし、別にいいや。」
「そっか。」
 那美恵に似た感じで、あっけらかんと答える流留。那美恵はその答え方を気にしつつもその場ではすぐに口を閉じて話題を終わらせた。
 その様子を見ていた三千花は、那美恵を引き寄せて彼女に問いただす。
「なみえ。あの内田って子艦娘に誘わないの?」
「えー。うん。今はね。」
 那美恵の頭は今はプール掃除を済ませることが占めており、今本気の勧誘なぞする気はさらさらない。三千花は親友の考えが何か別にあるのかとなんとなく察し、それ以上気に留めることはしなかった。