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第二部 4(77)くちづけ

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C/W その頃ユリちゃんは…#2



「ユリア、あなたの口からアレクセイに直接お言いなさいな。私は…ちょっと場を外しているわ。― アレクセイ、ユリアがあなたに大事な話があるそうよ。聞いておあげなさい」

― ちょっと私は外すから…。

そう言うと、アルラウネはコートを羽織り、帰って来たばかりのアレクセイと、夜着にガウンを羽織ったユリウスを残し、足早にアパートを立ち去って行った。

バタン―。
カツカツカツ…。

アルラウネの階段を降りるヒールの音が徐々に遠ざかっていった。

「なんだよ…。アルラウネのやつ。大事な話なら、一緒にいりゃいいのによ・・・・」

ぶつくさ言いながら、アレクセイがコートを長椅子に脱ぎ捨てた。

そのコートを拾ってユリウスがコート掛けに掛ける。

「何だよ。ユリア。俺に話があるのか?聞くぜ?…てかお前どうしたんだ?…具合でも悪いのか?」

ネグリジェにガウンを羽織ったユリウスのやや青白い顔をアレクセイが心配そうにのぞき込む。

恐らく床に就いていたのだろう。サイドに一つにまとめて流した髪の一筋が頬に貼りついていた。

頬に貼りついた髪を優しく手で梳いてやり、ユリウスを長椅子にかけさせ、自分もその横に腰を下ろす。

「寒くないか?」

「大丈夫…」

「そうか。…話って何だ?」

「あのね…」

「うん」

「あの…」

「何だよ。言っちゃえよ」

アレクセイが言いよどむユリウスの両手をギュッと掴んだ顔を近づけ彼女の碧の瞳を覗き込んだ。

「あの…。…が出来ちゃって…」

アレクセイに包み込まれるような形になったユリウスが、顔を伏せて消え入りそうな声で打ち明ける。

「ん?聞こえないよ。暖炉のはぜる音の方がよっぽどデカいぞ。悪いけどもっと大きな声で言ってくれ」

そう言って、アレクセイがユリウスの方へ耳を傾けた。

アレクセイの耳に向かってユリウスが、先ほどより少しだけ大きな、はっきりとした声で言い直した。

「子供が出来たの」

その言葉に、アレクセイは、ユリウスの手を握りしめ耳を彼女の方へ傾けた格好のまま暫し固まった。