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五十音お題。

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しずむ

(過去捏造臨也/過去シズとの邂逅)

 空はどんよりと白んでいた。本当につまらない日常である、理解が出来ないような、生理的に耐えられないような恐怖などヒトカケラも落ちてやしない。周りの人々も酷く軟弱でもう遊び飽きた。その辺りの感じは同年代の俺達が玩具に対するそれと似ている、最初は期待をして手に入れて遊ぶのに一定の時間がたつと、数ヶ月前にどうしてこんなに熱中したのかわからなくなっているのだ。おもしろい玩具はだいたい定期的に新しいものが出てくるが、人間はそうそう長期に渡って遊べる代物が生まれてこないのだ。それは焦らしプレイなのでは、と思うほどに。
「つまらない」
 何もかもつまらない、この世に生きている価値が見いだせない位に。こんな思考回路は病的極まりないのだろうが仕方あるまい。
「いっそのこと、」
 身を投げて死んでしまおうか。
 そう思い立ってから行動までの時間は早かった。お昼を食べて座ったままだった窓際の席から立ち上がり、立ち入り禁止のプレートを潜り抜けて屋上にほぼ無意識にたどり着いていた。
 今日は小雨が降っているからか誰もお昼なんかを食べていなかった、これは好都合とフェンスに足をかけてよじ登って反対側に行き、五十センチもない幅な足を置いて辺りを見回す。
「俺が死ぬのは君たちがつまらないからだ人間!」
 叫んでから、飛び上がるように急行落下。雨粒と一体化したようだ、もし俺が軽かったら空気抵抗に負けて着陸死ななくてすむかも、なんて考えながら。
「あれ。なんで俺、死んでないの?」
「はぁ? 助けてやった奴に礼も言わずになんだよ手前!」
「俺は助けてなんて言ってないよ」
 声がした上を見たら金髪の男が青筋をたてていた。見覚えがある制服だなぁ、と思っていれば髪を無理矢理ぐいぐいと引っ張られる。
「俺は、平和島静雄。そっちの名前なんだよ? 自殺志願者」
「折原臨也、だよ」
 これが退屈に沈んでいた俺を地表へと浮き上がらせるキッカケとなった。




作品名:五十音お題。 作家名:榛☻荊