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逆行物語 第二部~ディートリンデ~

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物語と現実(2)



 シルヴェスターの積極性とフェルナンドの緻密な根回しにより、領地の順位を越えて、2人の婚約が整います。その夜に……、

 “バイシュマハートとシュラートラウムが手を取り合う。何処までも白い世界で赤が輝く。フェルナンドが近付くと、赤はシルヴェスターだと分かる。フェルナンドはシルヴェスターの手を握ると、シルヴェスターが少し照れた様な笑みを浮かべた。

 ……………………………………………………………………………。

 気が付けば黒のマントが手にある。フェルナンドは迷う事なく、黄金を纏うシルヴェスターをそのマントで覆い隠した。

 幸福な夢の残照に、フェルナンドは漸く己を理解する。けれどそれが何になるのか。シュネーアストに翻弄され、舞うに舞えないブルーアンファとエフロレルーメが地に堕ちている姿を知った処で、凍り付いたラッフェルが腐り落ちる事は変わりないのに。”

 はっ、涙…。一体、何の涙なのでしょうか。フェアドレンナの雷が私の胸を激しく痺れさせているのか、良くは分かりません。
 フェルナンドは自分の気持ちを封じる事に決めました。シルヴェスターを困らせるだけだからです。そして実らないラッフェルに見切りを付け、新たなるラッフェルを探す事に決めるのです。
 そして兼ねてからダンケルフォルガー(ダンケルフェルガーですわね)の友人、ハイスヒッチェ(誰かしら?)から勧められていた、領主候補生とお会いになりました。
 しかしどうしてもシルヴェスターの事が忘れられず、心あらずになってしまい、結局、上手く行かなかった様です。そしてフェルナンドは決意するのです。

 “「忘却の神等は居ないのだ。ならば忘れないでいるしかない。フェアベルッケンにドゥルトゼッツェンの二重加護で、アンハルトゥングの祝福を退けるのだ。大事ない、ゲボルトヌーンも味方してくれるであろう。」
 フェルナンドは自分に言い聞かせる。何故なら彼にはそうするしか道が無い。
 腐り落ちたラッフェルが虫に喰われ、その痛みを訴える内は、それでも側に在るだけで幸せなのだから。
 実らないラッフェルに責めてもの報いとして、誰よりも側に。フロランツィアよりも必要である存在になると、決意新たに、貴族院を卒業した。”

 兄弟が貴族院を卒業後、直ぐにアウブ・レーレンフェストは病に倒れ、シルヴェスターが跡を継ぎました。アウブの看病に心奪われた第一夫人は、フェルナンドへ嫌がらせをする暇もなくなったと書いてあります。その為、フェルナンドは騎士団長に着く事が出来た様です。
 しかし録な執務経験もなく、継いだ為に様々な苦労があり、騎士なのにフェルナンドは文官の様に、兄を手伝って行きます。力を合わせ、領地を運営し、騎士を率いて魔獣の討伐に出掛け、領地内の情報を収集し…、忙しくも兄から必要とされる幸せを噛み締める生活を送っているとあり、私は何処に幸せがあるの!!?、と叫びたくなりました。