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逆行物語 裏二部~ジルヴェスター~

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兄弟喧嘩とその前後



 ユレーヴェから目覚めたローゼマインに、フェルディナンドが必要最低限の教育をし、貴族院入学の運びになった。

 そしてやらかしてくれた…。

 王族に喧嘩を売った……。ローゼマインよ、何故、その様な物言いをしたのか……。ま、まあ、ヴィルフリートがいるから問題は無かろう! 最近は子フェルディナンドになってきているし!!

 そう思って頼りにしてたのに。

 「何故!! 其方が第二夫人なのだっ!!? フロレンツィア以外嫌なのにっ!!!! 只でさえ第二夫人等嫌なのにっ!!!!!! 何故だ~っ!!!!!! 何故弟を娶らのばならぬのだーっ!!!!!!!!!!????????」
 嘘みたいな王命に対して、人払いした部屋で喚く。
「文句なら私が一番叫びたいが?」
 ヒヤリとした声音に、カルステッドが顔色を変えたが、私は構ってられぬ。 
「其方に解るかっ!!? 息子に仕組まれたんだぞっ!!?」
「だから気付かなかった其方が問題だろうっ!!?」
 勢い余って、胸ぐらを捕まれる。当たり前だが、此方も本気で怒っている。
「其方に解るのかっ!!? ある時突然、ヴェローニカそっくりな顔で涙を流しながら“私は貴方の味方です、必ずや貴方の恋を成就させる為、エーレンフェストに返して見せます!!”等と宣言したディートリンデのバカな思い込みに、どう対処したモノかと頭を悩ませたのだぞっ!!!! エーレンフェスト本が入って来ぬから、事態が解った時には遅く、打てる手が無かったのだぞっ!!!!」
 そこでバサリと、空いた手で持っていた本で叩き付けられる。
 奪ってみれば、その本は画集だった。複数の絵師が描いたと思われる、私とフェルディナンドが口付けする絵が、様々な構図で描かれている。
「こんな物を受け取らされた私の気持ちが解るかあっ!!?」
「何でこんな物が印刷されているのだあっ!!!!?」
 2人同時に怒鳴り、ゼイゼイと息を吐く。
「…其方はまだマシでは無いか…。私がゲドゥルリーヒなのだぞ?」
 私の第二夫人の立場なのに、星結びでエスコートされるのは私だ。気が重い。婚約式だって………………………………………………、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 人の目が痛い。嫌だ、耐えきれない。私はさっさとアウブを引退して、フロレンツィアを連れ、城から出た。フェルディナンドも一緒に連れていくしかなかった。だって、別居は別の意味で人の目が痛いんだもん。