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逆行物語 真一部~ローゼマイン~

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カーオサイファの加護



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 ゲオルギーネが養父様に対して行った酷過ぎて惨過ぎるレイプ…。その時に響いたのは、一途にゲオルギーネを思う養父様の気持ちを食い物にするかの様な、ゲオルギーネの歪な執着だった。それが余りに気持ち悪い。幽霊なのに何度も吐いた。何も吐くものなんて無い筈なのに、沢山吐いた。出てきた嘔吐物は、涙と一緒に綺麗さっぱり消えていくけど、何時までも其処らに残っている気がした。
 お父様とリヒャルダによって、発見され、ヴェローニカ様に知られたゲオルギーネは早急に縁談を纏められ、アーレンスバッハへと嫁いでいったのだ。
 養父様はゲオルギーネを苦手意識を持っていたけど、寧ろそれで済んだのが奇跡だ。嫌悪では無い、憎悪でも無い。あんな目に合わされてもまだ、ゲオルギーネが好きだった。だからこその苦手意識で脅えもあるだろうに、何時までも姉を想って、アーレンスバッハの方向を見ていた。純粋で拗らせていないから、気持ち悪いとは思わないけど、養父様はシスコンだったのではなかろうか。
 考えてみれば、フェルディナンドとは両想いなブラコンだし。ヴェローニカ様にはどうだったのか知らないけど、養母様に対してはツマコンだと思うし。
 …でも、私もトゥーリやカミルに対してはシスコンブラコンの様な気がするなあ。

 下町で流行り病が起こった。ヴェローニカ様はその対応に忙しく動いている。養父様も色々采配を奮って、母親を手伝っている。養父様が平民に対して、貴族として変わり者なくらい寛容なのは、この時に身に付けたのかも知れない。現場で実際に動いていたから、他の貴族もイヤイヤながら、平民を蔑みながら活動している。それでも数が圧倒的に足りないからか、神殿の青色達を動かしていて、その中にはベーゼヴァンスもいた。
 ベーゼヴァンスは他の青色とは違い、真摯に平民達に向き合っていた。その感情には私の知る残忍な蔑みは無い。養父様と他の貴族以上に上手く連携していて、どうして未来ではあの様に変わったのかと、驚きと疑問と切なさが沸き上がる。
 そしてその騒ぎが、犠牲者を出しながらも、収束した直後、その事件は起こった。

 フェルディナンドが現れたのだ。