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逆行物語 真五部~ローゼマイン~

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カーオサイファの登場



 【え? 何?】
 動いていた全てが止まる。音も聞こえない。見ている景色が静止画みたいだ。
「ふふ…、可愛い女の子ね。」
 静かすぎる空間に突如響く高い声。弾かれた様に、その方向を見ると、神々しくも禍々しい、黒髪に黒い瞳と言う、日本人として懐かしい色味が不気味な美しさを称える女性がいる。

 【カーオサイファ…?】

 私の脳裏にその名が浮かぶ。自然と口に出していた。
「ええ、正解よ、お嬢さん。」
 彼女がニコニコと笑い、肯定する。
「少し私と話しましょうか。疑問があるでしょう?」
 そう言った彼女の足元に、魔方陣が浮かび上がる。彼女は微笑んだまま、私を見詰めている。
 神話の悪役についていく事に迷いはあったが、私は何故、こうしているのか、何故、時間が巻き戻ったのか、何故今、時間が止まっているのか、疑問が強くあったので、彼女の魔方陣に足を踏み入れた。
 後にして思えば、病んでいたから出来た事だったかも知れない。そしてもしついていかなければ、また違った未来が待っていたのだと思う。
 只、後悔しているかと言われれば………、どうだろうか、結局。

 彼女の魔方陣の中に入ると、彼女はその効力を発動させた。どうやら転移陣の様だ。私は彼女の家らしき場所へ招かれた。
 ある部屋で彼女が指を鳴らすと、壁のある一面が鏡になり、カーオサイファや私が映…、る?
【え…?】
 どうして? 訳が分からない。鏡に映った姿は、“ローゼマイン”ではなく、“モトスウラノ”だった。

 「お茶の準備が出来たわよ。」
 ハッとして振り返れば、カーオサイファが椅子に腰掛けて、此方を見ていた。テーブルには彼女と私の分のカップが用意されている。
「どうぞ?」
 カーオサイファの向かい側を勧められ、私はフラフラと椅子に座った。
「高みにある鏡は魂の姿を映すの。それが今の貴方の姿だけど、やっぱり気付いてなかったのね。」
 カップに口を付けて、漸く一息吐く。
【私…、今は前世の姿なんですか? でも何で…、】
 私の問いにカーオサイファは頷いた。
「そうね…、何から説明すべきかしら…。」
 少し迷う素振りを見せた彼女は、首を捻りながら話し出した。
「人の世に伝わる神話って…、結局は最高神にとって、都合の良い話ばかりなのよね…。だから真実とは違う神の歴史が横行する。」
 そして怪しく笑う。魅入られた様に、私は彼女の話に耳を一心に傾けた。
「元々この世界は均等に魔力が流れていて、それなりに世界が潤っていた。
 でもユルゲンシュミットを作った事により、ユルゲンシュミットが巨大な魔力の塊として留まった分、他の部分の魔力が薄くなった。
 空から地へ、地から空へと行き来していた流れさえ、覚束無くなった。
 世界はそんな不自然な状態から元に戻ろうとして、ユルゲンシュミットは何度も滅亡の時を迎えた。
 そして、その度に神は人の世を巻き戻して来た…。知らぬは人間だけ。」
 とんでも無い事を何でも無い風に語り、彼女は品の良い笑みを浮かべる。
「巻き戻す度に、神は人の世に干渉し、或いは敢えて干渉しない事で、神々が望む方向に過去を変え、未来をも変える。そうやって不自然にユルゲンシュミットは生き長らえて来た。
 尤も…、神が干渉しようと干渉しまいと、変わる時は変わるし、変わらない時は変わらないけれどね。
 魔力を持たないモノ達を観察していたら、良く解る。私はエアヴェルミーンと違って、魔力量関係無しに物事の把握が出来るから…、私から見れば、最終的には偶然だと思うんだけどね…。」