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逆行物語 裏六部 ~それぞれの時間~

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リーゼレータ~眩暈のする光景~



 寮に戻った(運ばれた)ローゼマイン様は直ぐ様フェルディナンド様の診察を受けました。
「魔力の流れに問題は無い。とにかく休ませていれば良かろう。」
 正直、ローゼマイン様の診察は女性医師にやって頂きたいのですが、フェルディナンド様の只の診察を破廉恥と思う頭が破廉恥だと言う暴論に従わざるを得ませんでした。第一婚約者なのですから、私達側近が黙ってさえいれば良いとヴィルフリート様にも言われ、渋々引き下がったのです。
「本当に大丈夫なのであろうな。」
 しかしアウブがフェルディナンド様に問いました。動揺が隠せておりません。アウブのローゼマイン様への愛情深さは周知されておりますので、無理は無いでしょう。
「大丈夫だ、ジルヴェスター。この様な事で嘘等吐かぬ。」
 ちょ、フェルディナンド様っ!!? 私達は思わず目を背けました。フェルディナンド様はジルヴェスター様の頬を両手で包み、上向きにされています。殿方同士であり得ない距離です。と言うか、口付け寸前に見えるんですがっ!!
「しかし…、」
 アウブも拒否なされないし、何だか異様な雰囲気です。
「大丈夫だ。」
 言い切るフェルディナンド様はジルヴェスター様の頬から手を離すと、その身体を抱き締めて…、ああああああっ!!!!!!
 何故、こんなモノを見せ付けられているのですかっ!!? アウブ、貴方はフロレンツィア様お一筋では無かったのですかっ!!? 
「父上、叔父上、いい加減にして下さい。周囲を見てください。兄弟の情交わしは2人だけでしてください。」
 ヴィルフリート様がもんの凄く冷たい目で、スッパリ言って下さって良かったです。
 ……ある意味、元凶はヴィルフリート様の気もしますが。
「父上、叔父上がローゼマインに関する事で、見誤る事はありません。それでも心配なら、エーレンフェストに戻って下さい。叔父上、父上を宥めたければ、エーレンフェストの隠し部屋でどうぞ。」
「それでは本末転倒ではないかっ!!?」
「側に居てやりたいなら、動揺を沈めて下さい。私室で休んでいるローゼマインが部屋の外が煩くて起きた、と言う事にしたいのですか?」
「うっ、」
 アウブは何も言い返せない様でした…。

 その後、ローゼマイン様は目覚められましたが、高みで神々にお会いしたのですよ、とメスティオノーラ様の降臨されていた間の御自分の意識が何処に行っていたか、お話下さったのですが…、アウブが卒倒するかと思いました。

 「た、た、た、高み!!!!????」

 お顔が真っ青になり、更にそれを通り越し、土気色になっていましたから。
 ローゼマイン様は大丈夫、大丈夫とアウブに抱き着いて宥めておりました……。
 ヴィルフリート様にも思いましたが、一体どちらが子供でしょうか。いえ、アウブが良い方なのは充分解るのですが、執政する者としてどうなのか…。
 ヴィルフリート様が卒業為されたら、直ぐにアウブを交代された方が良いのでは…。

 後にその通りになりますが、この時はまだ分かりませんでした。