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先生の言葉 全集

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86.煙の有効性



 はい? 迷宮がよくわからない?

 いきなり哲学的な質問を投げ掛けてきますねえ。迷宮とはなんぞや、ですか。うーん。少なくともこの場所に限定をして話をするのならば、最奥の魔術師が狂王から盗んだアミュレットを持って立てこもっているこの地下10層からなる場所のことを示していると思いますが、いかがでしょうか。まあ、私はあまり学があるほうではないので、この程度のことしか言えなくて申し訳ないのですが。

 いや、そういう小難しいことが聞きたいんじゃなくて? じゃあ、どういうことが聞きたいんですか。迷宮が難しいってことが言いたい? ああ、なるほど、そういうことですか。
 確かに、この迷宮は一筋縄ではいかない程度には難しいですね。ダークゾーンだのワープゾーンだの、回転床だの落とし穴だのがひしめく中、恐ろしいモンスターと戦い危険な宝箱のわなを解除して進まなければならないんですからね。そういう意味では、私のような癒し系の雑魚モンスターも必要なのかもしれません。なんか、言ってて自分でも悲しくなってきてしまいましたが。

 いや、そういうことでもない? じゃあ、いったいどういうことなんですか。
 ええ、ここに来る途中によくわからないメッセージがあって、そこを通り抜けようとしたら、なんか金色の煙が囲んできやがって、もうひどいのなんのって、ほうほうの体でようやく逃げ出した? 2階も似たようなもんで、銀だのブロンズだのの煙に巻かれたりでようやく逃げ出せたと思ったら、今度は鍵ですら開きそうにない扉があったり、やけにしつっこいメッセージがあるなあと思ったら、落とし穴に落とされたり、全くわけが分からない?

 ははあ。なるほど、そういうことですか。まずですね、たいへん申し上げにくいのですが、皆さんは迷宮というものをまだちょっと勘違いされているように思われます。迷宮は初めから全ての場所に行けるとは限らないんです。少し遠回りをしたり強敵を倒したりして、然るべきアイテムを手に入れてからようやく行けるようになる場所があったり、冒険者がそういったアイテムを探し求めることを見越して、迷宮の奥深くに落とし穴を掘っておいたりするものなんですよ。

 でも、そういうことなら、あの煙たちに魔術師の守護をさせれば、俺たち冒険者は誰も魔除けを取り替えせなくなる気がするって?

 ……うーん。た、確かにそれはそうかもしれません。その意見、最奥の魔術師に具申しておくことにします……。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔