先生の言葉 全集
78.かぶと談義
かぶとについて教えてほしい、ですか?
別に教えるのは構わないんですが、こういった情報を私に聞くのはどうなんでしょうかね。この手の話って、冒険者の間で口コミで広がっていたり、商店の主が親切に教えてくれるものなんじゃないかと思うのですが。
ああ、なるほど。いろいろあって最近、転生してきたけど、レベルが高いせいで周囲も店主も知ってると思い込んでいるのか、なかなか情報を話してくれないと。まあ、冒険者も一枚岩じゃないですからね。ライバルパーティに有利な情報を教えたりすると、手柄を横取りされることもありますから、ちょっと黙っていることもあるかもしれませんね。そういう意味では店主もお店に利益を与えないパーティには当たりが厳しくなるのかもしれません。
まあ、かぶとの話ぐらいだったら、私が話しても差し支えないでしょう。恨まれてボコられても、それは毎度のことですからね。
まず、この世界には5種類のかぶとがあります。正直、それほど数が多いわけではありません。また、かぶとは基本的に前衛と呼ばれる職業、戦士、侍、君主、忍者が装備できます。
最初に冒険者がお目にかかるであろうものは、その名の通り、普通のかぶとです。これは店に売っているもので、店においてある上に安価なので、最序盤に購入できる防具ですね。
次に、主に迷宮の中層あたりで手に入るかぶとがあります。先ほどのかぶとよりも防御力が上がるものです。そして、性格次第ではこのかぶとが最強のかぶとです。
その次のかぶとですが、これは性格が悪のものが装備すると力を発揮するかぶとです。これは先ほどのかぶとよりもさらに防御が高いのですが、先述したように性格が悪でなければなりません。善と中立の者は、少なくともかぶとについては防御力にハンデを負うことになるでしょう。
また、呪われているかぶとも一つだけ存在しています。わりと迷宮深部で取れる上に売り値もそこそこなので持ち帰る方もいるようですが、呪われるばかりで何の役にも立ちません。
あと、最後にやや特殊なかぶとが一つだけありますね。使うと空間転移の魔法が開放されるかぶとで、2番目のかぶとと同じくらいの防御力を持っています。このかぶとの特筆すべきところは、どの職業も装備できることです。そのため、少なくとも一人は頭にかぶっているといいかもしれません。
こんなあんばいでしょうか。それでは、こちらでも良い冒険ができることを祈っております。