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悪魔言詞録

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134.妖鬼 キンキ



 その打たれ強さのひけつを教えてほしい、だと?

 やっぱ日々の鍛錬だな。腕立てや腹筋は常に欠かさないんだ。もちろん最初から何百回もやる必要はない。最初は少ない回数でも、確実に毎日ちゃんとやることを習慣づけることが大切なんだ。
 あと、以外に思うかもしれないが、柔軟体操やヨガなんかもやったほうがいい。筋肉だけの体だと大きな衝撃を食らった際、すぐにポキリと折れてしまう。硬さと柔軟性、一見、相反するように見えるこのふたつをともに効率よく己の肉体に練り込ませていく、そんなイメージで体を作っていくことが重要なのさ。

 他にもあるけど、大体はこんなところだな。結局、言ってることはジムにいるコーチと変わらないから、さぞかしがっかりしたことだろう。でも、やっぱり一朝一夕に鋼の肉体というものは作れやしないのさ。

 なら、その体を鍛えることへの情熱はいったいどこからきてるのかって?

 うーん。まあ動機はいろいろあるけれど、やっぱり他の奴らには負けたくないからっていうのが大きいかなあ。

 やっぱりこの世に生を受けた以上、一番を目指したいんだよ。この地でもたくさんのやべえ鬼とか、海外の悪魔とか、神とかに会ったけどさ。そいつらよりも俺のほうが強くなりたいって思いはやっぱり心のどこかにあるんだよな。
 それだけで、やっぱり常に鍛錬を欠かさなくなるよ、自然と。こっちがダラダラ怠けているうちに、他の仲魔にすげえ魔法や技を覚えられたら悔しいもん。

 そういう意味では、仲がいい他の3匹の鬼もライバルだな。普段、俺たちは4匹でつるんでいるから、あの4匹のうち金色のやつだけは弱いぞ、なんてうわさが立ったらそれこそ格好悪いし。それに、あいつらもめちゃくちゃ強い上に、個性的な力も持っているから、絶対に遅れを取りたくはないなっていう思いはあるわけよ。

 だから、おまえにも一度は負けたけどさ、いつかどこかで雪辱を果たす気でいるから。忘れないでいてくれよなっ!


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔