悪魔言詞録
163.大天使 ウリエル
天使が堕天をする理由は、主に3つあります。
1つ目が高慢。要するに自分は神以上の力を持っているんだってうぬぼれてしまったんですね。それで神の座を奪えると思って仲の良い天使たちと反乱を企てるも失敗、天から追放されたというのが話の流れです。
2つ目は嫉妬。神がわれわれ天使よりも土塊から生まれた無力な人間という種ばかりをかわいがるので、頭にきて神にけんかを売ってしまった。これも結局失敗して、やはり天から追放されて今は悪魔をやっている。
3つ目はいわゆる自由意志とでもいうものでしょうか。神は天使の一部にそんな意思をもたせたんです。その状態から神への愛情などを育むことを期待したからだと言われています。しかし、そうできなかった落ちこぼれは追放され、あるものは人間に、あるものは悪魔になったと言われています。
さて、ここまでは書物にも記されている話ですが、少しばかり変わった理由で堕天使になったものもいます。何を隠そう、この私のことなんですけどね。
昔、天使への信仰が流行したことがあったんです。民間の人々がこぞって天使を崇拝していたんですね。でも、当時の教皇はそれを危惧したんです。そこで、天使を信仰するんじゃなくて、神を信仰してくださいねってことで、私たちのような天使(正確には聖書の正典に載っていない天使)に堕天使のらくいんを押してしまったんです。
そういうわけで私、大天使なんて言われていますが実は堕天使でもあるんです。しかも、人の子によっていつの間にか堕天をさせられていたという、なかなか変わった経歴を持っているんですよ。
でも、人の子がどう言おうと自分の役目をしっかりやるだけですけどね。肩書が変わろうと神への忠誠は変わることはありませんから。
ああ、でも天使の中には私よりももっと変わった経歴の持ち主がいるんですよ。おそらく近いうちにお会いすると思いますので、召喚主さんも楽しみにしていてはいかがでしょうか。