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悪魔言詞録

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151.妖鬼 フウキ



 風っていうと、ピューピュー吹くもんだって召喚主さんは思ってるだろ? でもな、実はそれだけじゃねえんだ。

 そりゃ、風と聞きゃ、台風だとかが最初に思い浮かぶのも無理はない。俺も衝撃魔法が得意だしな。でも、強風だけじゃないんだ。そよ風や微風、果てはため息や吐息も風の領分だったりするんだぜ。

 別に他の属性をディスるわけじゃねえけど、強風でただごり押しをするだけじゃねえんだ。心地よい風で仲間を癒やすこともすれば、思わずしてしまった呼吸から切なさやつらさといったこともくみ取れる。風っていうのは案外、物事が見えてるのさ。

 まあ、水属性もそういった部分は得意ではあるけど、あいつらはちょっと感情的になりすぎるのが難点だよな。炎のやつは気性の激しさが長所だから、そういうのをあえて解さずにぶっちぎる、そこが長所のやつらだ。地のやつらは安定感に優れていて頼もしいが、この手の心が揺れ動くような事態はあまり好きではないだろうよ。

 要するに何が言いたいかというと、こういった第三者の心の機微といったものをきちんと理解しつつ、客観的に受け止められるのは風の属性が一番得意なんじゃないかってことなんだよな。

 だってそうだろう。水のやつらは気持ちに寄り添いすぎて同情してばかりだ。火のやつらは片方の意見だけを聞いてすぐさま走り出す手合い。土のやつらはそういった心の動き自体に否定的。気持ちを理解しながらも、どこか客観的な視点に立てる風の陣営が、人や悪魔の悩みを聞くのに一番向いているってことになりそうじゃん。

 ん? でも、悩みを聞くには相手の目を見てちゃんと話を聞く必要があるはずだ? 申し訳ないけれど、顔に風穴が開いていて目も鼻も口もない鬼に、あまり心を開く相手はいないと思うけど、だって?

 いや、まあ、そうだけどよ……。俺自身も繊細で目を合わせるのが苦手だし、どうにかこの顔で悪魔カウンセラーみたいな仕事、やらせてもらえねえもんかなあ……。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔