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悪魔言詞録

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103.魔神 アタバク



 ずいぶんと頼もしそうな体格をしてるから、期待しているぞ?

 それは、どうもありがとうございます。まあ、私も魔神なんて種族で、国の守護とか必勝祈願とか、組織における大元帥という地位に付くとかといったことができるようになりました。その他にも、いろいろな立場でやらせてもらっています。そういう意味では、召喚主さんのご期待に添えるかもしれません。でも、私、こう見えてとても悪いやつだったんです。本当にしょうもなかったんです。
 こんなことを言うと、いわゆるちょっと運が良くて、うまく時流に乗って成功したやつが、自分のはくをつけるためによくやる、昔は悪かった自慢みたいに聞こえるかもしれません。まあ、実際にそんな感じが強い話なんですが、ここは一つ、自己紹介がてら、召喚主さんも聞いてください。

 あるときのこと。とあるところに、無念の死を遂げようとしていた将軍がいました。その将軍は恐ろしいことに、その死の直前、その都に住む男女を誰も彼も呪い殺してやると誓って息が絶えたのです。彼は死後、鬼に転生しますが、その鬼が実は私だったんです。
 都の人々は、当然、自分だけは呪い殺されたくないと考えます。それ故、やむなく取らなければならなかった手段はなんだったのか。彼らは、自らの子どもを私に差し出し、自分たちの身を守ることにしたのです。
 私の下には、まるまると太ったいきのいい赤ん坊が何人もやってきました。私はそれらを引き裂き、腸を食らい、骨まで食い尽くして生き永らえていたのです。思えば、とても罪深いことをしていたものです。

 その後、お釈迦様にお会いして諭され改心して、いろいろあって今の私がここにあるのですが、あのときお釈迦様にお会いすることがなかったらと考えるとゾッとしてしまいます。

 ええ。敵国を撲滅したり、必勝を祈願するような、わりと攻撃的な御利益を持つ私でも、やはり偉大な人に会えなかったらと思うと、心細く思うものなんですよ。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔