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悪魔言詞録

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100.邪神 パズス



 どうも。お世話になっております。

 戦ったことはないし、初めて召喚したし、お世話をした覚えもない? 確かに、あなたとはそのような間柄ですね。でも、私、人類(あなたは半分悪魔ですが)に対しては、恩があるんですよ。

 かつて、一本のホラー映画が作られたんです。神父さんが女の子に取りついた悪魔と戦う映画でしてね。私、なんとそこに登場しているんです。
 他にも、とある超メジャーなRPGの確か2作目だったかな、に出演させていただきました。いきなり自爆魔法を唱えて、主人公たちを全滅させてくるやつとして、当時のゲーマーを大いに恐れさせたものです。もちろん、本物の私はそんな自暴自棄な行動はしませんがね。
 結局、それ以降もそのゲームにはちょくちょく登場させていただいていて、私のこの国での知名度の向上に協力してもらっています。遠くの場所で力を振るっていた私の名が、時を経てこの地でもとどろいているなんて、本当にありがたいですよ。
 ええ、もちろんそのゲームだけじゃなく、別のゲームにも取り上げてもらっています。例えば古い歴史を持つダンジョンRPGでは、名前こそ違うものの姿形が私にそっくりのモンスターがいます。しかもこちらも強さは最強クラスなんですよ。名前が違うので私ではない可能性もありますが、そのゲームの小説版では、その敵は私の思念体ということになっているそうです。
 他にも有名無名、さまざまな媒体で私は登場していて、引っ張りだこ状態なんです。もちろん私は邪神の端くれなんで、マスコットのようなかわいさや、ヒーローのようなかっこよさ、勇ましさは持っていません。悪役が大半です。それに、私よりよっぽど出番の多くて、人気の悪魔もいらっしゃるでしょう。でも、それでもいいんです。人工知能なんぞが活躍する最先端の世の中に、私のような太古の悪魔の名前が刻まれてる。それが奇妙で面白いと思うのです。

 だから、これからもお世話になりますよ。召喚主さん。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔