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悪魔言詞録

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127.夜魔 クイーンメイブ



 ふむ……。この扉の向こうの相手が、非常に手ごわいという情報は私も聞いておる。

 それゆえその戦闘中はわれに回復や補助を主にやってもらいたい、そなたはそのように考えているのだな。 ……まあ、正直な話、その指示は不服に思っている。われも一介の妖精から女王まで成り上がりし者。他の仲魔を助くだけでなく、むしろわれこそが先頭に立って力を行使し、相手を打ち砕くのがふさわしいはず。本音を包み隠さずに言えば、私はそう考えている。

 だが、われは力なき小妖精のころ━━それこそ公園という場所にすらたどり着くことができないほど無力であったころから、そなたと行動をともにしている。そなたにとって最古参の仲魔だ。われを含む非常に面倒くさくて個性的な仲間たちをどうにか束ね、並み居る強敵を、立ち並ぶ難題を、そなたがくぐり抜けてきたことは、他の誰よりもわれが知っているはずだ。

 ……われは次の戦。今まで通りそなたを信用しよう。今まで得てきた幾多の勝利と同様に、次の戦いでも輝かしい栄冠がわれわれの側に降り注ぐのを信じて、そなたの指示を仰ごうではないか。


 ……しかし、立派になったものだ。初めて出会った頃は正直な話、自分よりも格下だと思っておったのに。あっという間にガキを倒し、病院を抜け、今や天界にも魔界にも地上にもその名が知れ渡る強大な悪魔とこれから雌雄を決しようとしているのだから。
 われもどうにか妖精の女王の座につくことができたが、悪魔としての器は、そなたのほうがどうも大きかったようだ。

 機会があれば、女王の座などかなぐり捨てて再び小妖精に戻り、自由な身でそなたを助けてやりたいところだ。だが、そんな機会が巡ってくることはあるかのう。
 あの頃の姿に戻れれば、回復や補助だけなんてこともなく、メギドラオンやマハジオダインで攻撃に参加することもできるのだが……。

 ああ、いや、なんでもない。では、扉を開けていざ戦いの場に躍り出ようではないか。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔