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悪魔言詞録

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129.邪神 ギリメカラ



 おう、久しぶりだな。

 なんだ、俺に聞きたいことがあるって。え、物理攻撃を反射する方法を教えてほしい? お、聞く相手をよくわかってるじゃねえか。この世界で物理反射といえば、この俺さまかあの魔女のばあさんが代表格だしな。よしよし、そこまでいうなら俺さまが教えてやるよ。

 まずはだ。相手がこう殴ってくるとするだろ。そしたら、こう腹でボンってそれを受けるんだよ。そうすると敵はドテってひっくり返るんだ。ただそれだけ、簡単だろ。

 え? 俺たちはそんなに大きな太鼓腹じゃない? うーん、じゃあもう少し詳しく言うとだな。腹をグッとこらえてバーンと受けて、ポーンってはね返すのさ。わからねえかなあ。腹に力を入れてムーってきばりながら相手の攻撃を待ち受けて、当たったなって瞬間に力をドーンと開放してバシーンと弾き返す感じだよ。

 ……あ? なんか擬音語ばっかりで全然よくわからない? だから、グッと腹に力を入れて、バーンって攻撃を受けたら、それをポーンって弾き返すのさ。それだけのことなんだって。

 もっと理論的に筋道を立てて説明してくれ? そんなことを言われたって俺、えろい格好をしたあのお方の乗り物に過ぎないし、そもそもゾウだし、そんなに頭も良くねえしなあ。
 ああ、そうだ。習うより慣れろっていうじゃないか。俺さまがここでああだこうだと口で説明するより、実際にやってみたほうがいいんじゃないか。ほら、ちょうどいいところにおあつらえ向きの相手がやってきたじゃないか。この実戦で物理攻撃反射を会得すればいいのさ。ぶっつけ本番でも大丈夫かって? 何かあったら俺を呼べばいいんだから万事心配するなって。

 ……。

 どうだった? うまく跳ね返せただろう? いや、攻撃が当たりまくって散々だった?

 おっかしいなあ。俺ならもうちょっとうまくできるんだが。でも気にすんな。何回も戦ってくり返し練習すればいつかはできるようになるものよ。

 それまでは攻撃を受け続けるのみ、だな。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔