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悪魔言詞録

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91.妖魔 ジン



 んー、いったいこれは、なあんじゃあ。

 出てこいというから、仕方なくランプからではなく魔法陣から出てきてみたら、ちょっと前に戦ったおまえさんじゃないかえ。

 そうかい、そうかい。おまえさんはこの間こてんぱんにやっつけたこの老骨を、またいじめようと思って呼んだんじゃな。全く、おまえさんはうわさじゃ人の血も入っとるというのに、血も涙もないやつじゃのう。わしは悲しいぞ。悪魔でさえも生きていくのが大変なこの受胎後の世界で、もともと人間だったものにまた虐げられるなんて悲しすぎるぞえ。こう見えてもわしは昔、人間どもの願いをかなえさせてやったことが何度もあるんじゃ。瞬間移動の能力、大量の金塊、地位や名声……。そうやってそれなりに人間に貢献してきたわしを、かつて人間だったものがいびって遊ぶなんて、悪魔のわしから見ても世も末じゃのう。情けなくて涙が出てきたわい。おーいおいおいおい。

 何、別にいじめるために呼んだんじゃない? 手助けしてほしかったから呼んだんだ? ということはあれかのう。仲魔という名目で、さんざんこき使ってわしをいじめ抜こうという魂胆なんじゃな。どうせ、やれ回復しろだの、今度はこっちを攻撃しろだの、あっちで魔法を唱えろだの、老いたわしにめちゃくちゃな指示を出してあざ笑おうというんじゃな。じゃが、その手には乗らんぞ。

 わしはもう人間どもと関係を持つのはうんざりなんじゃ。あいつらの強欲っぷりにほとほと嫌気が差しとるんじゃ。わしは長年、あいつらのためにいろいろやってきた。じゃが、人という生き物はわしになんの見返りもせん、まあ、わしも見返りを求めていたわけではなかったがの。まあ、とにかく、そんなわけじゃから、人間という下等なやつらと付き合うのはもうまっぴらごめんなんじゃ。

 ああ、じゃあ、ストックにいるだけでいい、時期が来たら合体してもらうから?

 うーん。それも、ちょっと、なんか、こう、いやな気分じゃのう。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔