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aph 『伝説のエリシアン』

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3 ロシア



「えーと……それで、なんで会場が私の家なんですか?」
「もぅ、日本君は細かいなぁ(笑)みんなでくじ引きで決めたんだよ?平等にね♪」
「そのくじは、私は引いた憶えがないのですが」
「うん、君の所に来るまでにね、みんなのところを回って誰も当たりくじをひかなかったんだ。だから残りは君がそれを引くよね。」
「それって公平性はあるんでしょうか……」
「ロシアには公平性なんてサービスないよ。」

日本は頭を抱えた。事を進めるための幹事には会議でロシアと決まっていたから、てっきり会場もロシアの家になるものと思っていたのに。まさかホスト国もさせられることになろうとは……全くの想定外である。
「それでね、僕から提案があるんだ。君んちでやるなら、僕の家から一番近いところがいいなぁって。」
「……つまり、北海道でやりたいと。」
「うん、ダメかな?ダメってことないよね。あそこ人住んでないんでしょ?」
「思いっきり住んでますよ!」
「あれぇ?おかしいなぁ。君たちには寒いから無人島になってると思ったのに。」
「無人島じゃありませんし、上から数えて十指に入る都市もありますから!」
「残念だなぁ、小さいからそこ一個くらいもらえると思って目を付けてたんだけどな。」
「あなたから見たら小さいかもしれませんが、私から見たら全然小さくありませんから!」
「そうなんだ……。ねぇ日本君、僕たちどうして仲良くできないのかな……」
「すべてあなたのせいですよね?」
「え、そうなの?僕、日本君大好きだよ?いつも君が僕のものになればいいなーって思ってるし」
「それが原因です!」
「しょうがないなぁ。あの島をくれたら開催費も僕が出そうと思ってたんだけど、じゃあ経費は日本君もちでよろしくね。」
「なんでそうなるんですかっ、ちょ、ロシアさん、ロシ……」
「それじゃ☆」

「……私……いまものすごくフトコロが寒いのですけど……」


 遺憾な話ではあるが、くじ引きとか抽選とかいう類のものはたいてい厳正でも公平でもなかったりする。少なくとも、今の日本はそれを追及できる立場になかった。
ロシアの立っていたことを示す小さなつむじ風がその場に残された雪の粉を舞上げて、日本の泣き言もまた、あえなく煙と巻かれてしまったのだった。