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みとなんこ@紺
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Fool on the Planet

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アレのおかげで大佐はその場から微動だにしない事が多いのは事実だ。
指先一つで相手を転がして、見下ろして傲岸に笑う。常にそんなカンジで。
さすがにこれには皆苦笑うしかない。
「…まぁ、指揮官がそう度々現場で派手に立ち回る訳にはいきませんからな」
「腐っても大佐だからなぁ」
一応のファルマンのフォローに被せて、ブレダが地図の上にもう一つ印を追加しながら続けた。
「ちなみに大佐のソレは今回なしだ」
「え?」
「大佐の獲物はチョーク一本。発火布、置いて行ってるぜ」
まぁあろうとなかろうと十分物騒なんだけど。
そんなオマケは心に秘めたまま、ブレダは地図から顔を上げた。
ちょいちょいと指先でハボックを呼び寄せて、ぼそぼそと打ち合わせに入る2人を横目に見ながら、エドワードはふーん、と気のない返事を返す。

窓から眺めるイーストシティは、前見た頃から変わらず平和そうだ。
実際平和なんだろう。通りがかってきたニューオプティンではきな臭い噂が流れ、夜間の外出禁止が言い渡されているらしいが、ここではそんな事もなさそうだ。
それも結局、あの上官をアタマとした、この東方司令部の功績なんだろう。…何だかこうしてのんびり(?)訓練なんかしているところを見ると不思議な感じだが。



「大将達はどうする?参加していくか?」
「へ?」
突然話を振られて振り返った先には、ニヤニヤ笑う尉官たちが。
・・・というかコレ、日頃の鬱憤晴らしも含まれてるのか、もしかして。

だが、そーゆー事なら…。
「・・・ようは隠れてる大佐引っ張り出してとっ捕まえれば良いんだろ?」
こっくり、頷かれる。
兄の決断は迅速だった。
「大佐いなきゃ資料も貰えないしな。背に腹は代えられないよな!」
「・・・すっごく嬉しそうだよ、兄さん・・・」
「気のせいだ、弟よ。ついでにボコっちゃっていいかな、なんてカケラも思ってない!」

うわぁー…。何かもれてる・・・。

上下関係、という単語を時に頭から綺麗に追い出す兄は、ストレス発散にするつもりか、聞き流していたくせに、何だか物凄いノリノリになってしまった。
ていうか、そんなにうまくいくかなぁ…。
兄さんは対抗心剥き出しでいつも結構凄い事言ってるけど、大佐ってやっぱり大佐なんだから、そう簡単に事が運ぶと思えないんだけど。
第一そんなにスナオに色々させてくれるようなヒトじゃないって、良くわかってる筈なんだけど。
何でそうさっくり忘れるんだろう、本当に。
「アルは?」
「えッ?…ボ、ボクは遠慮します」
慌てて手を振るアルフォンスに、パタンとファイルを閉じて立ち上がったホークアイが笑いかけた。
「じゃ、アルフォンス君は訓練が終わるまで執務室で待っててくれる?」
「いいんですか?大佐いない間に入っても」
「大丈夫よ。むしろこっちは対策本部になるから、ばたばたするし、少し書類の整理をしたいから。手伝って貰っていいかしら?」
「あ、じゃあ喜んで」
取りあえず、お互いの身の振り方は決まり。
じゃね、と兄弟はお互い軽く手を振って分かれた。
「・・・OK。じゃ、行きますか」


ハボックの号令一下、わらわらと捕獲チームが出て行くのを見送りながら、アルフォンスはホークアイから受け取ったファイルを抱えて、彼女の後について執務室へ向かう。
両手が塞がっているため、ホークアイに扉を開けて貰って室内に入ったところで、

思考ごと、固まった。



アレ?
・・・いて当たり前の人なんだけれど、それは普段の話で今いるのはおかしくて、あれ?


椅子に腰掛け、デスクに軽く頬杖を付いた見慣れた格好で、深く息を付く黒髪の男が1人。

作品名:Fool on the Planet 作家名:みとなんこ@紺