二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
みとなんこ@紺
みとなんこ@紺
novelistID. 6351
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

LOOP

INDEX|3ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

『・・・久し振りに捉まっちゃったよねぇ』
それには僅かに眉を潜めて、遊戯は憮然と油断したな、とぼやく。
本来ならばあのままお役御免で家に帰り、2人して早々からベッドで爆睡、の予定だった筈なのに。
(まさか帰国してるとは思わなかったな。・・・モクバが時間を知らせに来た時点で気付けば良かったんだが)
『でもボクもまたモクバくん一人で帰ってきてただけかと思ったと思うよー』
(ああ、完全に読み損なった)
『・・・でも』
(ん?)
一旦間を置いて黙り込んだ半身に続きを促す。・・・何故か微妙に嫌な予感がしたのだが。
『・・・怒らないでくれる?』


――――結構、楽しそうだよ、キミ。


「・・・っ・・・」
ガク、と突然前触れなしに態勢を崩した遊戯の気配に、騎士の駒を進めた海馬は訝しげな視線を向けた。
「・・・何をしている。貴様のターンだ」
「・・・ああ・・・」
なんでもない、と返しては来るが、遊戯の表情は何でもない、といったものではない。
大抵の事は素で受け流し、あまり動揺を辺りに悟らせない遊戯にしては珍しく、何ともいえない表情で宙に視線をさ迷わせている。
さり気なく辺りの様子なぞ窺ってみても、何も特に変わった所もない。・・・とすると。
海馬は僅かに目を細めた。
こちらの遊戯がそう簡単に動揺させられる相手となると限られてくる。・・・というより、ただ一人しか知らない。
「もうひとりの貴様か?」
それには、先を遮る様に遊戯は苦い顔でかぶりを振ってみせた。
「それ以上突っ込んで聞くなよ、海馬。聞けばお前もひっくり返る事になるぜ」
自分で言ってみてからはた、とそれはそれで見てみたいかもな、とか何とか。一人で呑気な事を呟きだした。
しかも言ってるうちに己のペースを取り戻したらしい遊戯は、再びなんとも言いがたい微妙な視線をとある一点に投げかけている。
・・・普段であれば、差し向かいになってのゲームの最中であるこんな席で気を散らしている事を咎めている所だろうが、今日は珍しく何故か目を瞑る気になった。
ただ目を逸らさずに遊戯を見つめる。
・・・記憶にあるまま、だ。
別に何処もおかしな素振りは見せていない。
それを訝しむのか、安堵するのか。海馬は小さく舌打ちした。
こうなれば夢に囚われることなどとうになくなった筈の自分が、久々に夢に捕まったのが寧ろ滑稽に思えてくる。
当の本人はそんな海馬の心情なぞお構いなく、しばしその「相棒」と声の必要のないやり取りをしていたようだが。何事かあったのか、ふ、とまた唐突に気配が緩んだ。
「・・・判った。伝えておく。・・・おやすみ」
半身に向けて、小さく囁く様に告げたその時の表情。

・・・見なければ良かった。

小さく舌打ちして目を逸らす。
「どうかしたのか?」
次の瞬間顔をあげたのは、見慣れたきつい光を宿すいつもの遊戯、だ。
一瞬走ったあの感情は何だったのか・・・何とも言えない複雑としか言いようのない気分を無理やり腹の底へねじ伏せ、彼は何でもない、と先程の遊戯と同じ台詞を口にした。
それをどう取ったかまでは判らないが、本人は僅かに眉を寄せただけで、そっと黒のビショップの駒に手を伸ばした。
作品名:LOOP 作家名:みとなんこ@紺