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無題if 赤と青 Rot und blau -罪と罰-

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「おお!触り心地が俺好みだぜ。…おれが国になって、お前が一人前になってたら友達になってやるよ!」
ふにふにとロシアの頬を挟み、子どもは快活に笑うと今度こそ行ってしまった。

「…行っちゃった…」

ロシアは小さな手のひらに挟まれた頬を撫でる。まだ、その手の温かさが残っている。まるで、それは一瞬の夢のようだった。



 それから、どれだけの時が流れたのだろう。



 あの日、森で出会った子どもが「プロイセン」と名乗り、目の前に現れた。…でも、彼はあの日の約束を忘れてしまっていた。ロシアを思い出してはくれなかった。それでも、良かった。…もういいのだ。そのことが悲しくて仕方が無かったけれども、彼が自分のものになるのだ。だから、もう悲しまなくていいのだ。



「君が泣いても叫んでも、懇願しても、返してあげないよ。…君は自分からその権利を捨てた。…プロイセン君を自分の中から消したくて仕方がなかったんでしょう?知ってるよ。…でも「お兄さん」としてのプロイセン君を失いたくないって、凄い矛盾だよね」

ロシアは笑みを浮かべる。



「プロイセン君は僕がもらうからね。ドイツ君」



それに青年からの返事はない。ロシアは紫色の瞳を瞬かせるとコートの裾を翻す。





 ぱたりと小さく、ドアの閉まる音が部屋に響いて、すべての音が消えた。