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みとなんこ@紺
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Goodtime,Badtime

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アルフォンスが内心微妙な葛藤と闘っている頃、第二ラウンドのゴングは既に鳴っていた。
「放っておいたら逃亡する気だろう?」
こんな事なら先に情報を渡すのではなかったな。
これ見よがしにしみじみと聞こえるように言ってやる。
ついでにぺしり、と手にしていた書類を叩いて、机に噛り付きそうな勢いでじたばたし
ている子供の前に置いてやった。
「先日君が壊した地下水道の水門の件は結構あちこちに被害が飛び火しているんだ。被害
は最小限に抑えるべきだったな。後処理はこちらで何とかしてもいいが、せめて報告書く
らい自分であげたまえ」
「無駄に怪しい一団摘発する手助けしてやっただろ」
「残念ながら相殺されて余りある規模だ」
何なら報告書全部読んで後処理自分でやるかい?
ん?
と非常に爽やかに胡散臭い笑みを向けられ、流石に言葉に詰まった。
大佐の後ろに何かのオーラが見える。(ような気がする)
・・・これは結構マズかったのかもしれない。
ここへ来てようやくその辺に気付いたのか、エドワードは漸く机に向き直って、次に白
紙の報告書を見下ろして、最後に大きく息をついた。

・・・錬金術の本ならどれだけ積んであっても構わないし、好きだけど。
報告書の為の分厚い資料や何やらの方に無駄に充実したこのラインナップ。ついでに今
からまだ埋めなきゃいけないこの白紙の束。
睨んだって消える訳でも減る訳でもないのは分かっているが、ヤなものはヤだ。
何処かいかねーかな、コレ。
錬金術師にあるまじき非常識を振り翳すくらいには、嫌だ。
書類の山から定期的に脱走してるらしいここの実質司令官の気持ちが微妙に分かった気
がする。…途轍もなく不本意ながら。
「ワリに合わねぇよなぁ、あんだけ働いたってのに」
「…てゆーか兄さん主に暴れてただけじゃない」
思わずアルフォンスが反射的にツッコンでしまった一言に、じろっと兄は睨んでくるが、
だって本当だもん。撤回しないからね。
「確かにアルのが大変だったよな」
兄の壊した場所補修して回ってくれたし、うんうん。とわらわらと周囲に集まっていた
司令部のいつものメンバーも同意してくれることだし。
即座に集団で否決されて、エドワードは更に恨みがましい目を向けてくるが、取りあえ
ず見ないふり。
だって今回は兄の暴走のフォローより後始末に終始していた弟は、結構大変だった。
ホントに。

・・・形勢が悪い。

「・・・不公平だ」
このネタでたかろうと思ってたのに。逆に搾取されてる気がする。
キレイに自分の行動を棚上げしたエドワードはまだ不服そうだ。
だが時間は待ってはくれない。
大人も、ある程度デカイ子相手では待ってもくれない。デカイ基準は歳だけど。身長じゃ
ないから喜ばない、兄。
もとい。
「まぁ、好きなだけ愚痴っているといいさ。取りあえず今回ばかりはそれが終わらなければ
退室は不可だ、鋼の」
イイ感じに水を差す、いちいち嫌味な上官は、イイ笑顔でそんな面倒な事言ってくれるし。
「・・・ついでに弟君の直してくれた辺りの地域分の報告書も書いていくかい?」
ごめんなさい、もうお腹一杯。
背に腹は代えられず、エドワードはさっさと白旗をあげた。くそう、後で見てろ。そう
暗く呟きながら。



「ところで今日お前らどこ泊まるんだ?」
上司のいびりが一段落したタイミングでそう切り出したのは、長身の少尉だった。
「え?あ、いつもの宿にお願いしようと思ってますけど・・・」
「連絡は?」
「まだだ、けど?」
兄弟それぞれがいきなりの質問に戸惑いながら返すと、その答えににんまり笑った少尉
コンビはくるりと上司を振り返る。
「だそーです、大佐」
「ではお持ち帰り決定だな」
「はぁ!?」
何がどうなってお持ち帰りされんだこのアホ軍人!と続くはずだったのに。
それをあっさり遮ってその大人は悪戯っぽく付け加えた。



「アルフォンスくんを」


作品名:Goodtime,Badtime 作家名:みとなんこ@紺