SSやオフ再録
名無:まぐわい
最近俺はどうにかしている・・・。
俺は三年前に出奔していた、ちまたでは英雄と呼ばれている、ただの男だ。
ただの、ではないか・・・死神を宿しているし、そのせいで成長もしないしな・・・。
外見は十代半ばであろうが、中身はもう大人である。
その俺がなぜか最近やたら気になってしかたがない・・・。
昔の俺のように軍主となって戦っている、あの小さな子。
そう。
・・・小さな・・・少年を、だ。
最初出会った時は、よくもまあ、こんな小さいのが軍隊なんかをまとめてやがる、と思っていたが、なかなかどうして、彼はやり手だ。
小さいながらも精一杯自ら動きまわり、皆に好印象をあたえている。
庇護欲さえもかきたてて。
かといって本人自身何もできないわけではなく、あれでいて腕も、頭も、いい。
そうして最初は少人数だった仲間を今ではかなりの数に増やしており、また、それをうまくまとめ上げている。
最初はそういった事を感心しながら観察していた。
だが・・・
ふとしたときに伏せた目や、何か問題があったときなどにキュッと結ばれる唇。
ほどよい筋肉がつきつつも、子供ながらの未発達な小さな体。
それら・・・あげていくときりがないくらいのそういった事がだんだんと目について離れなくなってきた。
それとともに、彼が俺の近くを通りかかったときのあの目。
流れるような視線で見ていく・・・。
そして気づかないくらいかすかに上がる唇・・・。
なんなんだ。
まさか俺がどうにかしてしまっている事に気づいているのか?
そうして、からかっているとか?
彼ならやりかねないだろうと思えるほどには俺は彼を見ている。
とても綺麗な顔立ちをしてはいるが、一見ただの子供だ。しかし・・・
そう、しかし彼の目は時にとても妖艶な目となり、俺をチロっと見ていく。
そしてそれに気づくようになってからは俺はさらにどうかしていると思うようになった。
まずいとは思っている。
俺は男だ。
そして彼も男で、しかも少年であり、この大きな軍隊の軍主なのである。
だが・・・
日に日に俺は・・・
今は彼もなかなか忙しく、たいして話す事もないのが救いかもしれない。
だがもし今・・・
いや、線を越えないようにと・・・
「・・・マクドールさん・・・」
とうとう彼のかすれた声が後ろから・・・
俺は、ほんとうに、どうにかしてしまった。