SSやオフ再録
名無:出会い
空を見上げた。
先ほどまでどんよりと曇っていた空はすこしだけ日が差し始めている。
なぜか懐かしい。
そろそろ家に戻ろうと思った。
先ほどからずっとこの森の中でぼんやり座っていた。
なにをするのもむなしくて。
ここに戻ってみたのはいいが、誰と会っても何をしても・・・嫌気がさしてくる。
平気な顔をして、時には笑ってみるが・・・空虚。
ふ、とため息をついて立ち上がろうとしたとき、誰かの気配がした。
さっとそちらを見ると見たこともない少年が立っていた。
手がうずく。
もう慣れたはずの手が・・・。その死神の鎌が、なぜかざわついているような気がした。
それにしてもそこに立っている気配に気付かないとは・・・。
いったい・・・?
見れば淡い髪色をした青い瞳の少年。
「あ、ごめんね、じゃまをした?ちょっと道を聞きたくて・・・」
そこから退屈だった毎日が・・・今の空のように日が差したような気がした。