SSやオフ再録
名無:なじむ
「彼は、昔、群島諸国で僕達のように戦った人なんだ。」
そう言って、紹介した。
忙しい間をぬってまで僕らに時間を作ってくれたデュナンの現王様であるこの子は、「へぇ」と驚いた様子もなくニッコリとその事実を受け入れる。
ほんとにいつだってびっくりするくらい鷹揚でしっかりしていて器の大きな子だと実感させられる。
紹介された彼も、「よろしく」とニッコリして手を差し出した。
結局彼はここ、デュナンにしばらく滞在する事になった。
本当は自分の家にいて欲しい、とひそかに思ったが口には出さなかった。
空いている部屋は昔テッドがよく使用していた部屋。自分としては別にそこを使ってくれても全然かまわなかったのだが、彼はそれはやっぱり悪いから、と遠慮した。
でもまあ、かまわない。
どうせ今までだって、この城にはよく訪問させてもらっていた。
今後も頻繁に訪れていても特に変ではないだろう。
彼はすぐにここの人たちとも打ち解けていた。
世間でいう家事などがかなり得意なようで、そういった仕事もにこやかに率先して手伝っているようであった。
また双剣を巧みに振るう様はさすがで、たまに剣術の指南も頼まれているとか。
自分も凄く嬉しかった。
彼がここになじめばなじむほど、ずっといてくれるような気がするから。
まだ旅立ってほしくない。
もっと仲良くなって、いずれ旅立つ時は、一緒に行きたいと言っても快く受け入れてもらえるように・・・。
そうして今日も、僕はデュナンに訪れる。