SSやオフ再録
「・・・・・・。」
俺の・・・右、手・・・。
・・・そういえば・・・こいつは左手だったんだな。
テッドは何よりもまずそのことをフと思い、自分の右手を垣間見る。
・・・だが何も躊躇する事なく紋章を宿した左手を差し出してきたラズロ。
「・・・・・・ああ、いい、よ。」
そう言ってテッドはラズロが差し出してきた左手を右手でそっと握った。
するとラズロは嬉しそうに笑ってギュッと握り返してきた。
「えへへ。ありがとう、テッド。」
その嬉しそうな笑顔をまともに見てしまい、テッドは真っ赤になって慌てて顔をそらす。
「こ、これくらい、べ、別にいい、けど・・・。」
そうして2人、特に何を話すでもなく、しばらくそこで手をつなぎながらだんだんと海に沈んでいく夕陽を一緒に眺めていた。
後日。
「あ。テッド!僕、まんじゅうの方も絶賛受付中だからね!つめあわせとか、食べ放題とか、うーん、最高!」
テッドがいつもの如く部屋にひきこもっていると、同じくいつもの如く勝手に部屋に入ってきながらラズロが楽しそうに言ってきた。
「最高、じゃねえ!だいたいお前は食いすぎなんだよ!どこに消えてくんだ!?もっとまともなもんちゃんと食えよ!ていうか勝手に入ってくるなっていつも言ってるだろうが!ああもう、俺にかまうなアァァァ!」
たまたま部屋の前を通りかかったハーヴェイがその様子をチラリとかいま見て、シグルドに「あいつらって結局全然進展してないのな。」と呆れたように言っていた。