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SSやオフ再録

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日常:好きで仕方がない(紡がれし百年の時・トル主)



紡主=フィリク



100年目の怪物も無事退治し、ようやくの平和が戻ったと思っていた時に不意にあの木に綺麗な花が咲きだした。たまたま様子を見に来たトルワドが怪訝な表情をしながら近づくと、いきなり木が光り出した。

と、そこには何やら天使が舞い降りていた。

・・・・・・

「というわけなんだがどうかなロルフ。もう運命の相手だと思わないか?」
「どう、言われても、お前がどこか頭の打ちどころ悪かったのだろうか、以外どう言え、と?」

ロルフが笑顔を固まらせてトルワドに答えた。
現在2人は湖の砦におり、あの木がある場所に向かって歩いていた。

「なんだ、信じてくれないのか?お前もあの木は見ただろう?」
「いや、そこじゃないから。どうやら根本的に俺とお前の脳内は一致する事はなさそうだね?」
「何がだ?とりあえずその時は俺の技を伝授したんだがな。いや本当はそれよりももっと別の俺の技を色々伝授したいものだと思っていたんだが・・・、てどうした?ロルフ?・・・で、その後また来たんだ。"また来たのか?”て言って駆け寄ったらあの天使は嬉しそうに俺を受け入れてくれたぞ?」
「いや、そこは受け入れたという表現がなんだか違う。とりあえず苗を渡しに来ただけなのだろう?」
「物事は受け取り様だろう?・・・うーん、今日も来てないのかな。」

そう言って木に近づいていくトルワドを、ロルフが生ぬるい目で見ていると、木が光り出した。
え・・・!?うわ・・・!、と思っていると人影が4名ほど見えた。どうやら男女2名ずつ・・・と、その時トルワドが駆けだした。

「フィリク!」
「あ、トルワドさん。こんにちは。」

現れた途端駆けよって来たトルワドに動じず、そう言ってニッコリと笑いかけている少年は、どこかトルワドと雰囲気が似てはいるがまったく種類の違うタイプに見えた。
そして隣に立っている男女は大人らしいが、いきなり英雄として有名な(実際は色々残念だが)トルワドを見て泡を食ったようになっている。
その横でもう1人の少女が「つか、トルワドさん、まさかずっとここに張ってるんですか?・・・いつもいる・・・。」と呆れたように言っている。
まさに至極まっとうな意見だと思っていると、トルワドがフィリクと呼んだ少年が、仲間を紹介してくれた。
まっとうな意見を言った少女はミュラという名前。どうやら前にも一緒に来ていたらしい。あとの二人は、女性がイリア、といい、なんとなくホンワカとした感じの人だった。男性の方はアイオニア軍の格好をしており、名前をデューカス、といった。
そしてトルワドがロルフをミュラに紹介してきた。

「こっちが前に俺が言った、魔術師兼軍師のロルフだ。ミュラ、君は彼に技を教えてもらうといい。」
「わあ、ありがとうございます。」
「良かったね、ミュラ。」

フィリクと呼ばれた少年がニッコリと笑った。
その笑顔はロルフも確かに可愛い、と、は思った。が・・・。チラリ、とロルフはトルワドを見る。

「ああほんとにそれにしても、もう、なかなか来ないから心配してたんだぞ?」

すると、そう言ってトルワドはフィリクを抱きしめた。
やはりフィリクの笑顔に我慢が出来なくなったんだろうな、とロルフは呆れたように思った。

「す、すいません。ちょっと色々あって。」
「いや、元気そうならいいんだ。会えて嬉しいよ。」

トルワドがそうニッコリと言うと、この純情そうな少年は耳まで赤らめた。
ああ・・・騙されて・・・とロルフは少し遠い目になった。

「あの、あの、ト、トルワドさん・・・!?」
「ん・・・?何?」
「で、出来たら、そろそろ、その・・・は、離してもらえたら・・・」

相変わらずギュっと抱きしめたままのトルワドに、フィリクが真っ赤な顔色のまま言うと、トルワドがフィリクの髪に顔をうずめ、聞いた。

「なぜ?フィリクは俺の事、嫌いか?」
「そ、そんな!だ、大好きですっ・・・け・・・ど・・・・」

思わずそう言ってしまった後で、フィリクはもう茹でダコよりも茹だった状態となった。

「ありがとう、フィリク・・・。俺も大好きだよ?」

内心ではもう舐めまわしたい程可愛い!とか思っているんだろうな、などとロルフは思っていた。そのままトルワドは一見落ち着いた様子でそう答え、そしてフィリクの耳元にキスをした。
ああ・・・、とロルフが口をポカンと開けて見る。向こうを見れば、一緒に来た仲間たちも口をポカン、と開けていた。

「ちょ!あの、トルワドさんっ・・・皆さんもいるんですしっ・・・」
「・・・だったら今度は1人でおいで?」

トルワドは相変わらず落ち着いた様子で、美声をフィリクの耳元で囁いていた。
ロルフはため息をつく。
どうしようか、この男・・・など思っていると、ミュラがトルワド達に近づきながら胡散臭い笑顔を浮かべて言った。

「トルワドさん?ひ孫・・・いえ、もしかしたら玄孫(やしゃご)かしら?そんなフィリクが可愛いのは分かりますけど。フィリクが1人で来る事はナイと思って下さいね?そしてとりあえず苗、渡してもいいかしら?」

そしてトルワドからフィリクを引き離す。フィリクはそんなミュラに「どうしたの?いつもの口調となんか違うけど?」などと見当違いの事を言っていた。

「ミュラ。俺は色んな意味でフィリクが可愛いぞ?大切に思っているから、安心してフィリクをここに1人で来させても大丈夫だ。俺を信じろ。」
「信じられるものか・・・。あ、いえ、そうですね、大切に思ってはいらっしゃるかと思いますが、まあ私たちってほら、凄く仲良しだから。いつも一緒なの。ごめんなさーい。」

とてつもなく良い笑顔でそう言い合う2人を仲間は少し引いた、だが(生)暖かい目で見ている。
フィリクはなぜか生じた何とも言えない空気に首をかしげつつ困ったような顔をしていた。
そしてロルフは、未来から来たこの少年に、しっかりした仲間がいて本当に良かった、とあらためて強く思いつつ、色んな意味を込めてニッコリとした。
作品名:SSやオフ再録 作家名:かなみ