SSやオフ再録
日常:かき氷(ルック・湊)
(友達に捧げる用に書いた)
「ねえねえルック!かき氷食べない!?」
石板前でいつもの如くつったっているルックに、湊はにこやかに話しかけに行った。ルックは目だけをジロリと湊の方に動かし「いらない」とだけ呟く。
「えーなんでだよー!冷たいよ?美味しいよー?」
ブーブーと膨れながら、着ている法衣の袖を湊は引っ張ってくる。ルックはため息をついてそんな湊の手を袖から離した。
「あのね、湊。僕これでも一応仕事中なんだよ。いつもいつもこうやってここに来てなんかしてくるけどさ、その辺、分かってるの?遠征に行くとかってんなら付き合うけど、遊びなら他をあたりなよ」
「えー、ルックのケチ!もー……。っあ。詩遠さーん!今来たとこですか?」
まだ膨れていた湊は向こうからやってくる詩遠に気付きにこやかに声をかけた。一方ルックは聞きたくない名前を湊の口から出たのを耳にしてピクリ、と反応している。
「やあ、湊。今日も元気だねぇ。そして相変わらずのツンデレルッくんも」
詩遠がニコニコと手を上げながらそんな2人に近づいてきた。
「はい!元気ですよー!」
「って、ツンデレってなんだよ!だいたい呼ばれもしてないのにホント何しにくる訳、君いつもいつも」
「んー?可愛い湊に会いに、ね?ていうかいつもだけど今日は特にご機嫌ななめだねぇ。もしかして今日、アノ日?」
「何が可愛い……て、アノ日ってなんだよ」
「ん?ほら、月に一度訪れる……」
「僕にそんなものある訳ないだろーーーーーーーーーっ!!」
とたん暴発したかのような切り裂きが飛び交った。
もちろん湊も詩遠も素早く避難済みであったが。哀れな被害者は運悪く通りかかった青い人だけであったようだ。
「あーあ、フリックってば相変わらずだねぇ。転がしててもいいけど、まぁ俺も優しいからね?運んであげよう。あ、湊、いい?」
詩遠がそう言いながら倒れているフリックに近づき持ち上げた後で湊を呼んだ。
そんな詩遠をルックはムっと見ている。
詩遠は苦笑しながら「はい」と近づいてきた湊に言った。
「あれさ、ルックね?多分あんな涼しげな顔してるけど暑さに参ってるっぽいね。まあこの暑い中、あんなもん着こんだまま水も飲まずにあそこで突っ立ってるルックがバカなんだけどね?」
「あはは。でも、そっかー。かき氷食べよって言ったら即否定されましたけど、はい!無理やりにでも連れていきます!」
「ん、そうだね。んーと、ああ、誘い方、工夫してみればいいんじゃないかな?」
詩遠がニッコリと何やら湊に言った後で「じゃあね」と軽々青い人を抱えてその場を去っていった。
「ったく、何しに来たんだよ……」
相変わらずムスっとしているルックに湊は近づく。そしてまたルックの袖の裾をそっと持ってきた。
「……何」
「あのね、ルック……。僕と一緒にお部屋で氷、食べたり、その、他にも色々、えっと、こ、氷プレ、イ?だっけ……氷プレイしませ……」
次の瞬間には石板前には誰もいなくなっていた。
「何今のルックの表情と移動魔法の早さ。パネェ……」
ただ、ナンパをしに行こうと通りかかったシーナがポカンと呟いていた。