SSやオフ再録
日常:狩り(リオ・ナユ)
真の紋章。それは宿主に不老と強力な力を授け、そして呪いをもたらす。
「・・・僕の中ではソウルイーターと罰の紋章って、知ってる限りでは宿したくない紋章ナンバーワンなんですよね。」
ナユがつぶやく。
片や近しい人の魂を喰らう紋章、片や勝手に寄生し所有者の命を削る紋章。確かに避けてとおりたい。
「俺も昔宿してたけど・・・?」
「で、引きこもってたんですよね?」
「ぐっ・・・」
速攻でナユにかえされ、ぐうの音もでないテッド。ふん、と鼻で笑うルック。
「まあ、そんなの宿してて、誰かさんみたいにならないってのは、我ながら凄いと思うよ?」
その横でリオがにっこりと言う。
確かにそれらを宿していて崩壊せずに保っている精神は、尊敬にあたいするかもしれない。
だが。
「諸刃の剣」
呟くように唱えられる言葉。その瞬間闇色の剣が連続して空から降り注ぐ。
獲物はあっというまにこと切れる。
カイリは倒れた魔物に近づき、剣で解体し始める。
誰も何をしているのかとは聞かない。聞かなくとも分かる。
そう。
ご飯の為。
だが耐えきれなくなったテッドが叫んだ。
「真の紋章を食料調達に使うなあああああああああっっ!! 所有者の苦しみは何処へ置いて来たお前!」
「え?悩みつつ使ったほうがいいかい?」
そういう問題じゃねえ。テッド、ナユ、ルックは思った。
「世界を崩壊させる程の力を持つこれを、食料調達に使う、ね。完全になめてるよね、ていうか理解できない。」
ルックがぼそりと呟く。
「別にいいんじゃない?利用できるものは利用しないとね?」
リオがニッコリと言った後、手をあげる。
「冥府」
ゾロリと闇があらわれ、魔物をのみ込む。そしてリオがニッコリ笑う。
怖い。
なんていうか、ただの戦闘シーンのはずなのに、あきらかにまがまがしい。
餌をあたえているとしか、思えない。
それを何度か繰り返すリオを、もはや直視できない。
「・・・ごちそうさま」
「って、言うなっ。」
テッドが突っ込む。
「なぜ?僕はなにかマナー違反でもした訳?」
そういう問題じゃねえ。テッド、ナユ、ルックはまた思った。
「おや、この肉けっこう、いける。」
「カイリ、頼むから黙ってくれ。」
テッドが疲れたように言った。
「・・・あ、ほんとですね・・・。けっこうおいしいです。」
いつの間にか3人で見ていたはずのナユが、一緒になって食べていた。
やはりお前もかーっ。
新旧の天間星2人は思っていた。
恐るべし対応力。恐るべし天魁星。