SSやオフ再録
行事:猫の日(リオ・ナユ)
「ねえ、今日は貴様の日らしいよ?」
リオがニッコリと微笑みながらナユの部屋に入ってきた。
「は?何を言ってるんです?意味が分からない」
起きてから、珍しくリオは朝からいないな、などと思いつつスカーフを巻いていたナユは呆れたようにリオを見た。
「んー?なんか猫の日らしいから。貴様、まんまじゃない」
「……あいにく僕は猫じゃありませんので」
相変わらず何を言っているんだと言った風なナユの耳と尻尾は相変わらずゆらゆらと揺れている。そしてスカーフを巻き終えたナユは「出るんでどいてくださいよ」とドアに向かった。
だが、リオはまたニッコリと笑うとそんなナユの腕をつかんだ。
「は、離してく……」
「えー、やだ」
「せめて最後まで言わせてくださいよ!ていうか何が“やだ”ですか気持ち悪い……!」
困りつつムッとしたようにリオを見上げたナユは、どうにも良い予感がしない為本気で腕を払おうとしたが、やはりリオには敵わず。
「朝から乱暴だね、貴様は」
「どっちが……!離せ」
「まだ僕が喋っている途中だっただろう?人の話は最後まで聞けと習わなかったの?」
「普通の人の話なら最後まで聞きますよ……!貴方はろくな事言わないし、しないじゃないですか……!」
「……ふーん?じゃあ良いよ?期待されているようだし、好きにさせてもらう」
「は!?って、ちょ……!」
慌ててリオを見返すも、時すでに遅く、ニッコリと不遜に笑ったリオに、ナユは軽々と抱え上げられた。
「離して……!おろしてくだ……っぶっ!っ痛いじゃないですか、何すんです!」
バタバタと暴れていると、ベッドに放り投げられた。
「言われた通りしたってのに結局怒るとか。貴様は野蛮だな」
「あんたにだけは言われたくないですよ!」
「うるさい。もう黙れ」
言い返していると、妖しげな笑みを浮かべたリオに尻尾をつかまれた。
「っひ、ぁ……」
「猫の日、とりあえず満喫しようか?」
「っぅ、あ」
今のある意味最大の弱点とも言える尻尾に触れられ、せっかく結んだばかりのスカーフがリオの手によって解かれていくのを、ナユは抵抗すら出来ずにされるがままになってしまった。