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相模花時@桜人優
相模花時@桜人優
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認識ある火室-プライベートルーム-

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 でも、許可は貰えそうなので、と日本はロシアの顔を見ずに続けている。同じ手元の資料を捲りながら、つらつらと先ほどの出来事を語ってくれる。知りたかった情報を知れたのにロシアは心が晴れるところか曇りの上に雪の塊が降る様な、寒いよりも痛いが先行して手を握り締める。
「・・・・・・ロシアさん、その資料の代わりはないのですから無下に扱わないでください」
 ぐしゃりとロシアの手の中で潰れてしまった書類に、日本は一瞥をくれてから、やっとのことロシアを見た。
 その瞳が大きく見開かれるのに時間は掛からず、ロシアの歪んだ顔を見て日本は固まる。
 困った顔をしても口元が笑っているのが、いつものロシアだけれども、今は違う。
 眉が下がり、目が細められ、口が引き締められて、まるで今にも泣きだしそうだった。本人は俯いているつもりだろうが、日本との身長差で隠れるものも隠れない。

「なんて顔、しているんですか」
 紫陽花の花が雨を受けて流すような水滴が、ロシアの目からも溢れ出そうで、絞り出した日本の声が届いたかどうか分からない。目じりに浮かぶ涙は夕闇に呑み込まれないよう灯された蛍光灯から光を取りこんで、キラキラと光っている。そしてロシアのベージュのコートが、オレンジの夕闇を背負いながら闇の中へ吸い込まれそうになっていた。
「・・・・・・あ」
 何か口にしようとしてロシアは止まる。しばし見つめ合ってからロシアはトンと日本の肩を押して部屋から出して扉を閉める。
日本は金切り声を上げたドアを、その先にいるロシアを見ながら、
「・・・・・・なんなんですか」と呟いた。