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非日常のような日常の生活

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そういうと京平は、帝人の肩を叩いた。
それに帝人はにっこりと笑う。
「じゃあ、またな。」
そういうと、京平は駅方向に向かって歩いていった。
京平を見送り、貰った本を見る。
[片思い]そう題名が書かれてる本だった。
『どういう内容なんだろう、コレ。
 門田さんこういう本好きなのかなぁ。
 でも、こういうのくれるのはなんか嬉しいかも。』
そう思いつつそれを鞄にしまいこむと、一人残された帝人はどうしたものかと悩んだ。
『とりあえず、最初に行くはずだったハンズにでもいこうかな。』
そう考えると、京平とは逆方向へと歩き出した。


東急ハンズの近くにある煙草屋の前まで来ると、いつも並んでいる自動販売機が一つ足らない。
もしかして・・・と帝人は思う。
「い゛ぃいいいぃぃざぁぁああぁぁぁやぁぁああああぁぁぁ、てめぇ、池袋来るなっつってんだろぉがよぉぉおお」
そう遠くから平和島静雄の怒号が聞こえ、それと共に激しい落下音と軽い悲鳴が聞こえてきた。
池袋の風物詩になったその怒号を気にする人たちはいない。
『よかった、夕べ静雄さんにどの辺りに今日いるのか聞いておいて。
 来るかなぁと思ってたけど、やっぱり来たのか臨也さん。
 見つかる前にどこか行かないとなぁ。』
そう思いながら、東急ハンズに向かう。
そのとき、不意に肩を叩かれた。
「帝人君、こんにちは。」
そう言って肩を叩いたのは、静雄の弟の平和島幽。
「あ、こんにちは。
 幽さん、今日はお仕事お休みなんですか?」
にっこり笑って、幽のほうを向く帝人。
無表情で何を考えているのか他人には分からないが、何故か帝人には今の幽が嬉しそうに見えた。
「ううん、今日は19時頃から仕事なんだ。
 それまで暇だから、普段これない買い物でもしようかなと思って。」
そういいながら、幽は帝人の頭を撫でる。
帝人はそれに微笑んだ。
「お仕事大変そうですもんね。
 僕も暇だったので、買い物でもしようかなと思って出てきたんです。」
撫でられながらそういうと、少しそわそわし始めた。
「・・・どうかした?」
疑問におもった幽が少し小首を傾げて帝人に問う。
「・・・臨也さんが来てるみたいで、さっき静雄さんと喧嘩してたんですよ。
 その声が近くなってきてるなと思って。
 臨也さんに会いたくないんですよね。」
溜息混じりにそういうと、帝人は頭を垂れた。
「じゃあ、一緒に買い物でもしようか?
 暇だったら付き合って欲しいんだけど、駄目かな?」
幽は無表情のまま、帝人の頭を撫でつつ小首を傾げた。
「いいですよ、どうせ暇でしたし。
 どこ行きましょうか?」
撫でられながら、帝人は幽を見上げる。
「買い物行く前に・・・映画みたいなと思っていたんだ。
 今度やる役のヒントにでもなればいいなぁとおもって。」
そういいながら、幽は少しこまったような顔をしていた。
「映画いいですね。
 何が見たいんですか?」
帝人は小首を傾げて幽に問う。
少し困ったような顔をしている幽に少し疑問を覚えた。
「アクション系の恋愛ものなんだ。
 帝人くんと見るなら、違うモノのがいいかなぁ・・・。」
困った顔のまま小首をかしげ、遠くに見える映画の宣伝用の看板を眺める幽。
「幽さんが見たいのでいいですよ。
 お仕事でのヒントも欲しいんでしょう?」
笑いながら、帝人は幽が何が見たいのかが分かったらしく、幽の腕を引っ張り、近くの映画館へ促した。
それに少し微笑んだ幽は後をついていく。

チケット売り場に着くと、帝人は幽が何が見たかったのかがあたったことに笑い、つられて幽も少し笑った。
「すみません、チケット2枚ください。席は・・・・」
すぐ近くで幽がチケットを買っていた。
店員が出したチケットを受け取ると、隣にいた帝人に一枚差し出す。
「あ、幽さん、チケットのお金・・・。」
鞄から財布を出そうとしながら、幽にそうと、幽はその手を取って、チケットを握られる。
「いいよ、俺が誘ったんだし、おごりで。」
にっこりとまでは言わないが、幽は帝人に微笑み彼の頭を撫でた。
それにお礼を言おうとした帝人は、そのまま手を引かれ幽につられて歩き出す。
「ほら、そろそろ始まるよ。
 いこう、帝人くん。」
帝人の手ほ引きながら、幽はそのまま映画館内に入り込んだ。

中に入って幽と雑談していると、アナウンスと共に中が暗くなっていく。
帝人は、TVでクローディア・ウォーケンが出ていると話題になっていた映画だとしか分からないものの、幽と一緒に見れるのが嬉しくて仕方なかった。
会場が真っ暗になると、大きな音楽と共に映画が始まる。
その映画は、とある国の婦人警官が侵入捜査に入って、捕まった恋人を助けに行くという一見どこにでもあるようなストーリーだった。
それでも見ごたえはある内容で、ジョン・ドロックス監督が撮っただけのものではあった。
見ている最中、ずっと幽に撫でられたりしていたが、いつも会えば何故か撫でられていたので気にならなかった。

映画も終わり、館外へ出た二人。
幽は、映画のなかの演技を少し反芻しているかのようだった。
「あ、帝人くん、次どこ行こうか?
 サンシャインでも行ってみる?
 新しいアクセサリーとか、服とか欲しいんだけれど・・・。」
黙って隣に立っていた帝人に小首をかしげながら、幽は問いかける。
「そうですね、行ってみましょうか。
 買い物といっても、別に買うものはないので、とことんお付き合いしますよ。」
そう言って帝人は幽に微笑む。
それを幽は頭をひと撫ですると、軽く笑んだ。
そして二人は意思を合わせたかのように歩き出した。

サンシャインに着いた二人は色々な店を見て回る。
洋服だったり、アクセサリーだった、帽子だったり。
幽が選んでいる横で、それを帝人は楽しそうに眺めていた。
幽の買い物があらかた済むと、幽は今度は帝人で遊び始めた。
いろんな服を着せてみたり、帽子をかぶせてみたり。
帝人がいいと言うのに、幽は帝人に服や靴を買ってあげたりもした。

買い物を満足した二人は、サンシャインの外に出る。
薄暗くなっていたその池袋は、電灯がつき、家路に着く人がちらつき始めていた。
ふと、幽が携帯電話の時計を見る。
画面の時計は18時過ぎを表示していた。
「あ、そろそろ仕事に行かないと。」
携帯電話を上着のポケットにしまいながら、幽が呟く。
「じゃあ、ここで別れましょうか。」
それを見ていた帝人が幽の顔を見ながら微笑んだ。
「そうだね。
 あ、そうだ・・・」
そう言いかけて、幽は自分の鞄をごそりとあさる。
それを不思議そうに帝人は見ていた。
「これ、バラエティ番組に出たとき、自分で作ったストラップなんだ。
 形も全部自分で決めて作ったやつで。
 俺と御そろいになっちゃうけど、貰ってくれるかな?
 今日のお礼に。」
そう言って、幽は細長い小さな箱を差し出す。
「いいんですか?
 えへへ、ありがとうございます。
 なんか、嬉しいな。」
そう言うと、帝人は受け取った箱を大事そうに抱え、照れたように笑った。
「今日は、本当にありがとう。」
幽の演技でもなんでもない、心からの笑顔を帝人に向けながら、彼の頭を撫でる。