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非日常のような日常の生活

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「え・・・いや、僕のほうこそ、こんなに買ってもらったりして・・・。
 ほんとうにすみません。
 ありがとうございました。」
円満の微笑で、箱を抱えながら、幽を見上げ、帝人は嬉しそうにしていた。
「じゃあ、俺は行くね。
 また。」
帝人にそう告げ、幽は駅の方向へ向かう。
それを帝人は見送ると、手に持っていた箱を開ける。
そこには、シンプルで幽らしいデザインの小さな蒼い石のついたストラップが鎮座していた。
『服よりも、靴よりも、コレのがなんか嬉しいなぁ。』
そう思いながら、それを鞄にしまう。
そして、家路に着こうとしたその時、前から見知った人が歩いてきた。
「あれ、竜ヶ峰?」
そう声をかけてきたのは、静雄の上司、田中トムだった。
「あ、田中さん、こんばんわ。
 お仕事終わったんですか?」
トムを見上げ、笑顔で帝人はそう問いかけた。
「ん、まぁ、今日は早く終わったな。
 途中、折原臨也が来て中断したけど。」
少し笑いながら、トムは帝人の頭を撫でる。
「あー・・・、ハンズの後ろ辺りで静雄さんが怒鳴ってるのが聞こえましたよ。」
苦笑いしながら、帝人はおとなしく撫でられた。
「あははは、聞こえてたか。
 まぁ、何時ものことだ。」
笑いながら、煙草に火をつけ帝人にその煙が行かないよう、上下に少し移動するトム。
それに嬉しそうに少し帝人は笑った。
「・・・臨也さんも相変わらず懲りない人だなぁ。」
そうポツリと帝人が呟く。
それにトムは笑った。
「そうだ、竜ヶ峰。
 夕飯食ったか?」
煙草を吹かしながら、トムは帝人の頭を撫でる。
「あ、いえ・・・まだですけど。」
きょとんとした顔で帝人はトムを見上げた。
「じゃあ、今日は仕事も速く終わったし、家に飯くいに来るか?
 なんか適当に作ってやるよ。」
突然の申し出に帝人は更にきょとんとした。
「い・・・いいんですか?」
恐る恐る聞いてみる。
まさか、誘われるとは思ってもみなかった。
「ああ、別にいいぞ。
 一人暮らしって静雄から聞いてるし。
 それに、一人で食うより二人で食ったほうがいいだろ。」
そういってトムは笑いながら帝人の頭を撫でた。
帝人はその言葉に円満の笑みで見上げる。
それを了解と取ったトムは帝人の頭をぽふぽと軽く叩いた。
「じゃあ、途中で買い物していくか。
 高校生に酒は駄目だから、ついでにお茶とかも買って。」
嬉しそうにトムがそう言うと、帝人は笑って頷いた。
そして二人はそのまま池袋の雑沓から遠ざかるようにして歩き出す。


材料を買い込んで、トムの住むマンションへいく途中、いろんな話をした。
学校のこと、友達のこと、いろんなことを。
セルティともよく話すことも話をした。
そんな話をしていると、あっという間にトムの部屋に着いた。
トムがジャケットのポケットから鍵を出すと、その鍵で部屋のドアを開ける。
幽に買ってもらった荷物と、スーパーに寄った際買った軽めの荷物をもって帝人は少しどきどきしていた。
まさかトムの家に来るとも思わなかったし、帝人が買った荷物を持つと言うのを彼は重いから俺が持つといって聞かないやり取りなんかを自分とトムがするとも思わなかった。
「ほら、上がれよ。」
そうトムに促され、帝人は部屋に入った。
「お邪魔します。」
帝人は少し照れくさそうにそういうと、靴を脱いで部屋に上がる。
すれ違いざま、トムは帝人が持っていたスーパーの袋を奪い取る。
「その辺に勝手に座ってまってろ。」
少し微笑みながら、帝人にそういうと、帝人は荷物を取られたことに少しびっくりしつつ、頷いた。
そして、そのまま部屋の奥へと進む。
突き当たりの部屋に入ると、広めのダイニングキッチンと大き目のソファ、ガラスのテーブルが置いてあった。
帝人はとりあえず、端のほうに荷物を置くと、緊張の面持ちでソファにちょこんと座る。
それをキッチンへと向かいながら、トムは見て和んだ。
「あ、竜ヶ峰、悪い。
 テーブルの上、適当に片しておいてくれ。」
キッチンの奥でがさごそと買ってきたものをしまったりしながらそう言う。
「あ、はい。」
言われて慌ててテーブルの上をみると、灰皿と雑誌が何冊か無造作においてあ、それを軽く片付け、雑誌をソファの横にあったマガジンラックに仕舞う。
「これでも飲んで待っててくれな。」
そう言ってキッチンから戻ってきたトムはグラスに注がれたお茶とペットボトルをガラステーブルに置く。
帝人は返事をする代わりに微笑んだ。
そのままトムはまたキッチンに戻る。
『そういえば、メール来てたんだっけ・・・。』
思い出したかのように帝人はポケットから携帯電話を取り出し、メールを見た。
【来るなと言われると来たくなるのが人の心情じゃないですかぁ?
 太郎さん、どこにいるのかなぁ♪】
甘楽口調の臨也からのメール。
それを見て帝人は自分の勘が当たっていたことにげんなりした。
そして、その携帯電話を閉じる。
帝人は見なかったふりをするようだ。

ふと、いいにおいが部屋に漂う。
キッチンのほうを向くと、トムが器用にフライパンを操っていた。
「料理できるなんてすごいですね。」
何気なく帝人が尊敬のまなざしでトムを見る。
「一人暮らししてると、自然と覚えるぞ。
 外食より金もかからないしなぁ。
 それに、最近作るのが楽しくてな。」
笑いながら、トムはフライパンを動かし、せかせかと料理を作り上げていく。
帝人はそれを楽しそうに見ていた。

「ほら、出来たぞ。」
トムがテーブルの上にデミグラスソースがかかったオムライスを二つ置く。
それを帝人は眼を輝かせてみていた。
そんな帝人に笑いつつ、トムはキッチンに戻って、野菜スープを持ってきてテーブルに置いた。
小脇に抱えていたビールを開けながら、トムは帝人の前に座ると、そのビールを一口飲む。
「あ、卵がとろとろだ。」
嬉しそうに帝人が呟く。
「冷めないうちに喰えよ。」
笑いながら、トムは帝人の頭を撫でてる。
「あ、はい。
 いただきます。」
にっこり笑って、帝人はスプーンでオムライスを掬うと、フーフーして冷ましながら口に入れると笑みが零れた。
「うまいか?」
ビールを飲みながら、帝人を撫でつつトムはそう問いかける。
「はい!」
帝人は円満な笑みをトムに向ける。
その笑顔につられてトムも笑った。

「ご馳走様でした。」
綺麗に平らげた帝人は、自分が使った食器を重ねつつトムに向かって微笑んだ。
「おう。
 じゃあ、片付けるか。」
立ち上がって重ねた食器を持ち、トムはキッチンへ向かう。
「あ、洗い物手伝います」
そう言って帝人も立ち上がり、トムに続く。
「お、じゃあ頼むわ。」
帝人の申し出に微笑みながら、トムが頷くと、帝人は嬉しそうに腕まくりをした。
そして二人は仲良く後片付けをする。
二人分の洗い物はあっという間に終わった。
「じゃあ、食器仕舞うから、座ってろ。」
そうトムに言われて、帝人は頷いてそのままソファの場所に戻る。

ふと、サイドボードの上にある香水の瓶に眼がいった。
それを物珍しそうに眺める。
帝人は香水なんて付けないから、マジマジとみるのが初めてだった。
「ん?
 ああ、香水か。
 竜ヶ峰はつけないのか?」