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涼の風吹く放課後 お試し版

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「男らしく、イケメンになって女の子にモテモテなら、女の子扱いされなくなると思うんだ。」
 イケメンで、モテモテ…? いや、理想とするところはわかるけど。でも、さっきの様子からしても、ある意味キミはもう十分モテモテなんじゃないかな…。逆方向で。
「そうだな、目標があるってのはいいことだな。俺も応援するから。」
「ほんとに?ありがとう。勇君と一緒のクラスになれるといいのになぁ。」
「う、うん、そうだな、さっきのお友達も一緒だと心強いだろうけど。」
「うーん、あいつらにはあまり、甘えたくないんだ…。」
 ふむ。なんだか複雑な乙女心だな…。いや、男だから、男。
「あいつら、助けてくれるのはいいんだけど、その方法がとんでもないんだ。僕のことからかう相手を、勝手に僕のことが好きだということにして、男同士のカップルに仕立て上げようとするんだ。」
「なっ!」
 それって、さっき俺がされたことと同じじゃん!
「大抵はそれを嫌がってからかうのやめるんだけど、それでもやめない相手には、『涼はノンケでも食っちまう男なんだぜ』とか言うんだよ。ねぇ勇君、ノンケってどういう意味かわかる?」
 いや、あの、ネットでちょっと見たことありますが、説明したほうがいいのかなぁ…。でも、この調子だとこれから先、様々な困難が彼を待ち構えているだろうし、少しは予備知識を入れておいたほうが彼のためかもな…。
「えっと、確かノンケってのは、男同士の恋愛に興味のない男のことだと聞いた。」
「ええっ。じゃあ、ノンケを食っちまうっていうとどういう意味なの?」
「う…。恐らく、だが、涼君がその男の子を男同士の恋愛の道に引きずりこんでしまう、て意味だろうな。」
「そんなぁ。僕だってそんなの興味ないのに! なんで僕が引きずりこむんだよ!」
「ま、まぁ、落ち着け。要は相手を怖がらせて、涼君にちょっかいをかけさせないためだったんだろう。」
「でも僕、そんな風に怖がられたくないよ。はぁ…。」
 涼はどんよりと落ち込む。
「まぁ、そういう声に打ち勝つのも強さのうちかもしれないし。」
 あんまりフォローにならないフォローを入れてみる。
「うーん、そういうのより…。そうだ、勇君、僕、武道とかやってみようと思ってるんだけど、どうかなぁ。」