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涼の風吹く放課後 お試し版

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 そ、そっちなの? その方面は少しマニアックなんじゃないかな…、って、そうじゃないですよね。真剣に武道をやりたいんですよね。涼君を見てると、どうしても発想が危険な方向に行ってしまうのは何故かなぁ。それにしても武道って、それ自体、何か嫌な予感がするんだけどな…。
「ねぇ勇君、聞いてる? 僕も武道をやって体を鍛えて、男っぽくなれば、そんな風に思われないよね?」
「う、うん、そうかもしれないな。」
「よし、がんばるぞ! 部活選びも楽しみになってきた!」
 涼は天真爛漫な瞳を輝かせる。その瞳の輝きがなぜか、余計に不安をかきたてるのだけれど。
「部活だと確か、武道系は柔道くらいしかないと思うんだけど…。」
「え、そうなんだ。うーん、柔道でもいいよ、強くなれるなら。頑張ってみようかな?」
 えっと、女子柔道部はないと思うよ…。普通の男子相手だと潰されちゃいそうだよ涼君…。
「ま、まず見学して、一度体験してみたほうがいいと思うよ…。あ、も、もちろん、そのときは俺もついて行くから。」
「え? いいよ一人でも、僕がやりたくて行くんだから。勇君には勇君のやりたい部活もあるでしょ?」
「あ、えっと、俺も柔道に興味がないわけじゃないんだ。中学校の頃、ほんの少しだけど経験あるし。二人でよかったら見に行かないか?」
 はぁ、なんで俺はこんなことを口走ってるんだろう。
「ほんと? いいけど、怪我しちゃうかもしれないよ?」
 キミがね。キミが怪我することが心配なんだよ。
「そんなこと。多少の辛さも、仲間がいれば乗り越えられるものだし。」
「僕が、仲間? ありがとう、勇君。そこまで気づかってくれて。友達だと思っていいよね?」
 目をキラキラさせたまま、俺の両手を握ってきた。その瞬間、ずきゅんっ、と大電流が俺の腕から心臓へと駆け抜ける。落ち着け、涼が言ってるのは友達だから、友達だから…。
「う、うん、ぜひ友達でいてくれ。」
「わぁ! 嬉しいよ。あ、これから勇君のこと勇と呼んでいいかな?」
 勇、と呼ばれて、心臓がきゅーっと絞られた。いけない、体のいろんなところからいろんな汁が出そうだ。こ、このまま一緒にいては大変なことになる。
「あ、あぁ。涼、って呼んでいいよな、俺も。」
「うんっ。」
 そんないい笑顔で見ないでくれ…眩しくてたまらない。