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涼の風吹く放課後 お試し版

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 そう言って不自然に後ろを向く挙動不審の俺。落ち着け、特に俺の下半身。
「ねぇ、ちゃんと見ててよ。…これでいいの?」
 涼の声を待って振り返る。
「で、上はこうやって左前にしっかり重ねて。そこで帯を腹の前から一回背中を回し、腹の前でまた交差させ、2本重なった帯の下に通し、両端を結び目が横になるように縛る。」
自分で上衣の帯を締める様子を見せてあげる。
「へぇ〜。勇は経験あるの?」
 涼の問いかけにうなずいて見せると、涼は、ぱぁっと花咲くような笑顔を見せてくれる。
「わぁ、それなら勇におまかせでイイよね。ねぇ、自分で着てみるから見てて。」
 俺の見よう見まねで帯を締めようとするが、結び目が縦になったり、結び目を直すと今度は上衣がはだけたりして、なかなかうまくいかない。
「ああ、そうじゃなくて」
 そう涼に声をかけながら、涼の前から手を出そうとすると、涼に制される。
「そっちから手を出してもらったら、僕一人のときに出来ないよ。後ろからお願い。」
 後ろからお願い…。ごめんごめん、帯の締め方だね。俺は涼の背後に回って、涼の手を握って動かしながら耳元に向かって話しかける。
「こうやって、後ろから前に通して、下から上へと差し込んで、そう、ギュッと締める。」
 さらさらとした涼の髪からは、とてもいい香りがふわっと漂ってくる。胸の中に甘酸っぱい波涛が沸き立ち、両腕が突き動かされ、後ろから両肩をギュッと握ってしまった。俺はこれをどうしたいんだ?
「よし、出来た。」
 と、誤魔化すように威勢よく声をかけ、涼の肩をポンポンっと叩いた。そんな俺に涼は振り向き、ニコッとした顔を向けてくれた。それは、俺の中に渦巻いていた劣情を一瞬でに昇華させてしまう、純真な笑顔だった。

 道場に入ると、先輩方が勢ぞろいして出迎えてくれた。今日、見学に来た新入生は俺たちを含め四人のようだ。二年・三年合わせて10人ほどの部で、部の維持のためなら戦力になるかどうかは度外視してくれるかもしれない。
 主将は俺らを見るなり、にこやかに話してくれた。