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涼の風吹く放課後 お試し版

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 涼が思い切り声をかけて小内刈りをかけると、先輩の身体がフッと浮いて、二人はもつれ合うように倒れこんだ。先輩の腕が、のしかかった形になった涼の身体を抱きしめるような形になったのを俺は見逃さなかった。
「一本! そこまで。なんだ、なかなかやるじゃないか。」
 主将が声をかけると、涼は照れた笑顔を見せて立ち上がり、先輩に「ありがとうございました!」と挨拶をした。涼は、あくまで柔道の技がかかったのだと思っているだろう。
 相手をしていた先輩は他の部員の中に戻って、ニヤケ顔のまま、ヒソヒソと話をしている。漏れ聞こえてくる内容は「お前ズルいだろ…」というからかいの声と「あの香りに包まれてるとたまらなくて…肌とかすべすべだし…」という言い訳と、話の輪にいたやや大柄の先輩の「おい、次は俺だぞ」という声。何やらとても危険なものを感じる。これは涼を逃がすべきじゃないのか…。でも本人は先輩方のそんな様子に気付いてないし…。またそういう話で悲しい思いをさせるのもなぁ…。

「さて、次は寝業だ。」
 主将の声とともに、先程のヒソヒソ話しの中で「次、俺が」と言っていた3年生の先輩が意気揚々と出てきて、「俺が胸を貸そう」と畳の上で仰向けになる。その先輩を相手に袈裟固めを掛けるということだ。
「原田か。まぁ、こちらも一本とられてるからな。とはいえ、手加減してやれよ。」
 体格通り、原田先輩は結構強い先輩のようだ。まず自分がこの先輩を相手にしなければならないのに、その後で涼にもそのまま相手するつもりなんだろうと思うと、そのことが気になって仕方がなかった。
 寝業でもまずは経験がある俺が涼の先にやって見せることにした。俺は仰向けに横たわっているにのしかかって、右手は首を抱え込んだ先の後ろ襟を、左手は奥袖ををしっかりと握り、引き絞る。
「はじめ!」の声とともに原田先輩の足が持ち上がり、俺の体を挟み込もうとする動きから必死に逃れるが、3〜4回ほど逃れた次の瞬間に上半身の抑えがきかなくなり、スルッとうつ伏せに逃れられてしまった。うつ伏せでは、押さえ込みとは認められない。「待て」の声で終わる。押さえ込むことができた時間は10秒にも満たない。手を抜いてもらっているはずなのに、ポイントを取ることすらままならない。