二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

涼の風吹く放課後 お試し版

INDEX|35ページ/52ページ|

次のページ前のページ
 

 こんな感じで、あれでもない、これでもない、と一時間以上悩み、店内のディスプレイをぐるっと一周した結果、涼は、丸みを帯びた黒いプラスチックフレームを選んだ。いろいろと選んだり意見を言ったりしたものの、最終的にはやっぱり涼の好みで落ち着いた。男性アイドルとして魅力的な、という目標を考えると少し疑問だけれど、自分で納得できるものが一番だ。

 視力を測定してレンズを決めて、2時間以内に出来上がるという。
 俺と涼は出来上がるまで、少し街に出ることにした。
「さぁ、何して時間潰そうか。ゲーセンやカラオケも近くにあるし、この際、映画館という手もあるしな…。」
「勇は、どこか行きたいところあるの?」
「いや、俺は特にないよ。」
「そう…。じゃあ、僕が決めていい?」
「ああ、是非。」
「確かこの近くに、前から行きたかった店があるんだ。」
「なら、丁度いいんじゃないか。行こう。」
「ほんと? よかった。」
 そう言って涼が俺を連れてきたのは、色とりどり、何十種類というフルーツタルトがショーケースに並んでいるタルト屋だった。
「これは…凄いな。」
「勇も凄いと思う? ここは種類も多いけど、それぞれがフルーツたっぷりで彩りもよくて、甘すぎなくて美味しいんだって。」
「へぇ…。涼はよく知ってるね、こういう店を。」
「あ、うん…。実は、お菓子作りの参考にといろいろ調べてて、この店のこと知ったんだ。」
「涼、お菓子作るんだ…。」
 俺の心がキュン、としてしまった。この子は本当に男らしくなりたいんだろうか? そんなことに囚われずに、女の子らしく生きたって別に構わないんじゃないか。そんな気持ちが押し寄せてくる。でも、そんなことを涼が望んでいるわけじゃない。少なくとも、表面的には。
「あ…。えっと、律子ねえちゃんに仕込まれて、ね…。『これからは男だって料理の一つくらい出来ないと駄目よ!』とか言って、子供の頃から結構いろいろ作らされて。でも律子ねえちゃん自身がお菓子作ったのなんて見たことないんだよ…。」
「なるほどねぇ…。」
 涼には悪いが、つくづく納得できる話である。
「そ、そんなことより、好きなタルト2種類選んでよ。タルト2種類とお茶のセットにして、それぞれ半分こして、4種類食べようよ。」
 涼がもう我慢しきれない雰囲気だ。